2014 Fiscal Year Research-status Report
着衣型光電容積脈波センサを用いた健康管理システムの開発
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25870040
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 誠 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90604637)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウェアラブルセンサ / 健康モニタリングシステム / 光電容積脈波 / 圧受容器反射 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,一般家庭において容易に健康管理ができるモニタリングシステムの構築のための発展的な研究を実施した. 平成25年度の研究成果をもとに,システムに導入する光電容積脈波センサの種類に関しては,緑色LEDとフォトトランジスタを組み合わせたものとした.また,センサの配置部位に関しては,比較的に安定して信号が取得できる指尖,手首,前腕,上腕の4箇所とした.一方,従来の研究で一般的に用いられてきた近赤外LEDについては,体動などのノイズに弱いため,平成26年度以降の実験では参考信号としてのみ取得することとした. 平成26年度は,提案システムおよび提案指標を使用するにあたり,健康モニタリングに必要な機能として,生活習慣病予防に有効であると考えられている血圧の変動や自律神経活動の変化を検出可能かどうかの検証を行った.具体的には,息こらえ負荷によって血圧や自律神経活動を意図的に変化させたときの反応について,緑色LEDを用いて得られる生理指標と連続血圧計を用いて得られる生理指標の間で比較することで,提案システムおよび提案指標の有効性の検証を行った. 実験結果から,息こらえ負荷によって血圧および自律神経活動を変動させた場合,緑色LEDを用いて得られる生理指標は,連続血圧計を用いた従来の生理指標と同様の変化をする傾向にあることが分かった.これにより,提案システムおよび提案指標を用いることで,血圧変動や自律神経活動の変化を捉えられる可能性を示した.ただし,測定部位によっては,血圧を用いた従来の指標に比べて,反応が時間的に遅れて現れることもあった.そのため,今後は測定部位における差異について,その生理学的機序を明確にする必要があると考えられる. 以上の結果をもとに,今後は測定部位による反応性の違いを考慮しつつ,健康モニタリング装置としての完成度を上げられるようさらなる検証を行う必要があると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度では,提案する緑色光電容積脈波センサを用いることで,生活習慣病予防に有効である血圧変動や自律神経活動の変化を捉えられる指標を得ることが可能であることが示された.これにより,提案システムおよび提案指標の健康モニタリングシステムとしての有用性について,基礎的な検証が十分なされたと考えられる. さらには,本研究で用いている緑色光電容積脈波信号から得られる生理指標について,同様の指標が検討された先行研究はなく,本研究の成果は新規性があるため,適宜,学会発表や学術論文での報告を行い,広く認知されるよう積極的に活動した. 以上のことから,本研究は当初の計画に沿った形で進捗していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,平成25年度および平成26年度の研究結果をもとに,ウェアラブルセンサシステムおよび健康モニタリングシステムとしての完成を目指す.具体的には,平成27年度では,着衣型光電容積脈波計測システムのハードウェアの構築を行う.センサや測定部位ならびに解析方法に関しては,前年度までの成果をもとに決定し,センサと計測システムの統合を目指す.そして,完成したシステムを用いて実験を行い,計測の安定性や得られる生理指標の有効性を検証する予定である.加えて,前年度に引き続き,学会発表や学術論文での報告を行っていき,提案システムの認知度を広められるよう努める.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,当初計画していた解析用パソコンおよび計測用パソコンの購入において,より安価なもので代用が可能だったためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
健康モニタリングシステムの構築に必要な経費として,平成27年度請求額とあわせて使用する予定である.
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Research Products
(2 results)