2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔がんの発症に係るニコチン性アセチルコリンレセプターに関する分子基盤の解明
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25870047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西岡 貴志 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50641875)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ニコチン / 口腔がん / 喫煙 |
Research Abstract |
欧米諸国や日本における口腔がんの発症率は、がん全体の数パーセントと頻度はあまり高くないが、発生学的口腔の特殊性から、摂食・咀嚼・嚥下障害、発音障害、味覚障害など口腔機能が障害されることにより患者のQOLは著しく低下する。口腔粘膜と直接接触する噛みタバコの日常習慣があるインドを中心とした東南アジア地域での口腔がんの全がんに対する比率は約30パーセントにまで増加することやコホート研究等による統計学的な研究などからこれまで喫煙は口腔がんのリスクファクターの一つとして挙げられているが、タバコの構成主成分の一つであるニコチンが、直接的に発がんに影響することは証明されていない。 本研究では、ニコチンが与える口腔細胞への影響を検討し、口腔がん発症に関連するニコチン誘導性シグナル伝達経路の解明を目指す。本年度は、口腔がん細胞において、ニコチンによる刺激で、細胞の分裂促進に関連するシグナル伝達経路(Epidermal Growth Factor Receptor; EGFR)を活性化し、細胞を増殖させるかを検討した。ニコチン刺激24時間前より血清飢餓状態にした口腔がん細胞に対して、ニコチンがEGFRに及ぼす影響についてウェスタンブロット法にて解析を行った。コントロールに比べ、ニコチン刺激したものは有意にEGFRのリン酸化を促進していた。ニコチンがEGFRシグナルを活性化することが示唆された。また、細胞増殖能を検討するために行ったWound healing assay法においてもニコチン刺激した口腔がん細胞の方が増殖していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニコチン誘導の細胞増殖シグナル伝達経路の主要な経路と考えられるEGFRの活性化促進を確認することができ、細胞増殖能についてもニコチン刺激により活性化することが示唆されたため、現在のところ当初の予定通りに研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在検討している口腔がん細胞以外の細胞でも同様の現象が起こるかを確認し、正常細胞における挙動を確認する。また、ニコチンシグナルのカギとなるニコチン性アセチルコリンレセプターのサブユニットの探索、EGFRシグナル伝達経路のさらなる解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
抗体を購入する予定であったが、納品遅延となったため。H26年度請求額と合わせて使用する予定である。 当初より購入予定であった抗体の購入に充て、H26年度の研究遂行に使用する予定である。
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