2013 Fiscal Year Research-status Report
ソルボサーマル反応による自動車排ガス浄化向けレアメタルフリー助触媒の創製
Project/Area Number |
25870054
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
董 強 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (00643230)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | レアメタルフリー / 自動車排ガス浄化 / 助触媒 / 酸素吸蔵能 / 酸化スズ / アルカリ土類金属 |
Research Abstract |
レアメタルは自動車の排ガス浄化用触媒や固体高分子形燃料電池の電極触媒をはじめ、さまざまな触媒に使用されている。今後、排ガス規制が厳しくなることや高効率エネルギー変換デバイスの開発が求められることは必至であり、レアメタル需要の増大が見込まれるが、レアメタルは高価であり、また、資源が極端に偏在することから供給リスクが懸念されている。CeとZrはレアメタルであるため、その使用量の削減あるいは代替材料の開発は急務である。レアメタルフリー新規助触媒の酸素吸蔵能(OSC)と自動車用の排ガス浄化触媒併せて利用することで排ガス浄化性能がより向上し、更に自動車に使用されている貴金属の使用量を大幅に低減することができる。平成25年度には、ソルボサーマル反応による触媒材料組成と形態を制御し、助触媒の酸素吸蔵能に及ぼす最適な化学組成と形態を明らかにするため、資源的に豊富でSn2+-Sn4+の価数変化が可能なSnO2に着目し、第一原理計算よりSnO2にアルカリ土類金属イオンをドープすることで、酸素脱離エネルギーが減少し、OSC性能向上に寄与する可能性が示された。ソルボサーマル法を用い、合成したアルカリ土類金属ドープ酸化スズは中空状ナノ粒子であり、市販の酸化スズに比べ、規則的な形態を持ち、焼成後も高い比表面積が維持され、高いOSCを示し、特に、SnO2にSr2+及びBa 2+などのイオンをドープした中空状ナノ粒子M-SnO2(M=Sr、Ba)が、優れた耐熱性を示すと共に、OSCが標準助触媒より90倍も向上し、排ガス浄化用助触媒中にレアメタルであるCeとZrの使用量削減・代替が可能であることを見出した。以上の研究結果に関して、国際学会6回、国内学会6回を発表し、学術論文2報を国際論文誌に掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ソルボサーマル反応による自動車排ガス浄化向けレアメタルフリー助触媒の創製を目指す。具体的に、平成25年度の研究の目標として、ソルボサーマル反応による化学組成と形態制御を行い、Ca、Baなどのイオンをドープした酸化スズ系などレアメタルフリー助触媒の最適な化学組成と形態を明らかにする。その研究目標を実現するため、まず理論計算を行い、この結果から、Ca、Baだけではなく、アルカリ土類金属イオン全般は酸化スズにドープすることによって酸素吸蔵能(OSC)向上に寄与する可能性が示された。更に、ソルボサーマルプロセスを用い、合成した金属イオンドープSnO2は高いOSCを有することが実証された。特に、SnO2にSr2+及びBa 2+などをドープした中空状ナノ粒子M-SnO2(M=Sr、Ba)が、優れた耐熱性を示すと共に、OSCが標準助触媒より90倍も向上し、排ガス浄化用助触媒中のレアメタルCeとZrの使用量削減・代替が可能であることを見出した。さらに、多数の国際学会と国内学会に参加し、研究成果を発表すると共に、学術論文が掲載された。以上の通り、平成25年度の研究の目標に達成したと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究成果を踏まえ、酸化スズ系より、もっと資源的に豊富で、かつ安価な酸化マンガン系や鉄系レアメタルフリー新規ナノ助触媒(OSC材料)の開発を目指す。 さらに、新規助触媒の酸素吸蔵の原理を理論的に解明し、自動車三元触媒機能性評価を行い、三元触媒活性を最大限に発揮できるOSC材料とγ-酸化アルミニウムおよび貴金属との複合方法を見出す。例えば、ソルボサーマル法、含浸法などの手法を検討する。 また、OSC材料とγ-酸化アルミニウムおよび貴金属間の挙動を検討する。OSC材料とγ-酸化アルミニウムおよび貴金属の複合状態を解明し、触媒活性と複合体の微細構造との相関を検討する。 最後に、研究成果を総括し、自動車排ガス浄化向けレアメタルフリー助触媒の作製手法を確立し、国内及び国際学会における研究成果を発表し、学術論文を公表する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度に、アルカリ土類金属イオンドープ酸化スズ新規触媒OSC速度の解析を行い、その結果を日本セラミックス協会秋季シンポジウムにおいて発表する予定であったが、OSC速度の解析が完了しなかったため、計画を変更し、アルカリ土類金属イオンドープ酸化スズのX線の解析を行うことに留まったため、未使用額が生じた。 次年度では、アルカリ土類金属イオンドープ酸化スズ新規触媒のOSC速度解析と日本セラミックス協会秋季シンポジウムでの発表を行う予定であり、未使用額をその経費に充てることに計画した。
|