2015 Fiscal Year Annual Research Report
海洋付着生物に対する自己組織化表面微細構造を用いた防汚材料の創製
Project/Area Number |
25870059
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
室崎 喬之 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40551693)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海洋工学 / 高分子構造・物性 / 自己組織化 / 付着生物 / 防汚技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、環境負荷の少ない海洋付着生物に対する防汚表面微細構造を作製する事である。これまでの研究結果より、自己組織化的に形成されるハニカム状多孔質微細構造にはフジツボ付着期幼生に対する抗付着効果がある事が認められた。さらに付着期幼生の行動学的解析より、ハニカム構造上において付着期幼生の付着前探索行動におけるWalking行動を阻害される事が抗付着効果の原因である事を見出した。 このようにハニカム状多孔質構造はフジツボに対し有効な防汚材料となる事が明らかとなったが、 ハニカム状多孔質構造のどのような形状がキプリス幼生に対する防汚効果に有効なのかについては詳しく分かっていなかった。その為、今年度はハニカム状多孔質構造の孔径、リム幅、深さという幾何的特徴に着目し、これら幾何的特徴のサイズが異なる様々な表面微細構造を作製し、表面微細構造のパターンとフジツボに対する抗付着効果の関係について検討を行った。18種類の各種微細構造パターンをモールディングにより作製し着生実験を行った結果、全体的な傾向としてリム幅が増加するに従ってフジツボの着生は減少する傾向が見られた。また深さが5μm程度の場合には、roughness factor (= 基板の真表面積 / 投影表面積)が増加するほど付着個体数が増加する傾向が見られた。 これはroughness factor の大きい微細構造表面ほどフジツボのセメントタンパク質の接着面積が大きい為、付着期幼生は着生に好適な基板であると判断している事が考えられる。一方、深さが15μmを超えるものの場合には、roughness factor によらず着生個体数が少なかった。これらの結果よりハニカム構造の深さパラメータが抗付着効果に関し重要である事が示唆された。
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