2013 Fiscal Year Research-status Report
抗菌性銀添加型ハイドロキシアパタイトの創製と形態制御
Project/Area Number |
25870061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 充孝 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (10547706)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | XAFS / 格子定数変化 / 溶解性 / 形態制御 / TEM / 抗菌性 / ハイドロキシアパタイト |
Research Abstract |
抗菌性生体材料の開発に向けて、湿式プロセスによるAgおよびCu添加型ハイドロキシアパタイトの合成を試みた。Ag添加型ハイドロキシアパタイトの合成では、Ag添加量が増加するに伴い試料の結晶性が低下する傾向が確認された。またICP分析の結果から、試料中に含まれているAg量は仕込み量の1/10程度であることが明らかとなり、ハイドロキシアパタイト構造中へのAgの固溶は当初の予想通り難しいと考えられるが、Ag系化合物の生成の無い合成手法を見出すことに成功している。一方で、気相プロセスにて合成したAg添加型ハイドロキシアパタイトでも同様にAg相の生成が報告されているものの、得られた被膜は生体親和性や細胞毒性を示すことなく、持続的な高い抗菌性を有していることが示されており、ハイドロキシアパタイト構造中に置換固溶が難しいが、ハイドロキシアパタイト粉末とAg粒子の分布を制御することにより抗菌性生体材料としての利用が可能になることが期待できる。同じく抗菌性を有するCu添加型HApの合成では、Cu添加量が10 mol%においてHApの単一相が得られており、Cu添加量の増加と共に、格子定数の縮小、結晶性の低下、微粒子化が生じた。さらに、溶解性試験の結果から、Cu添加量の増加に伴い、試料の溶解性は低下するが、溶出されるCuイオン量が増加したため、今後取得予定の抗菌性試験結果を基に、持続的に高い抗菌性を発現させる材料設計が可能になると考える。 高輝度X線を用いた局所構造解析に関しては、予定している測定はほぼ終了しており、データの解析を進めていくことで、添加元素の化学状態および置換位置、固溶限の解明を進めていく。 試料粉末の形態制御に関しては、実験装置の設置および基礎的なデータの取得が終了した。予定通りに次年度から粒子合成を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は (1) ハイドロキシアパタイトへの銀の固溶を行い、生成相、微細組織、結晶性、化学状態を固溶量、熱処理温度の関係として整理し、材料設計のための基盤とする。 (2) 銀固溶量と生体活性、抗菌特性、生体毒性の関係を調査する。 (3) 形態制御に向けた静電噴霧プロセスの立ち上げ の3点を目標としている。ハイドロキシアパタイトへのAgの固溶に関しては、試料中に存在しているAgが仕込み量の1/10程度と微量ではあるが、Ag系化合物等の生成が無い単一相の合成に成功し、生成相、微細組織、結晶性、化学状態に関する測定データの取得はおおむね終了しており、これらを随時整理していく。また、Agよりも固溶量の多いCu添加型ハイドロキシアパタイトに関しても同様のデータを取得しており、相互補完しながらまとめていく。抗菌性、生体活性、細胞毒性等の評価に関しては、測定に必要なサンプル量の準備が整い、次年度初めに評価を行う予定である。装置の立ち上げも予定通りに終了し、基礎データの取得を行っているところであり、本研究の達成度はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に取得した各種データを、固溶量や熱処理温度との関係で整理していく。また、平成25年度で取得できていない抗菌特性や生体活性に関するデータの取得、放射光施設を用いた実験に係る課題申請を随時進める。 平成26年度では、試料の形態制御に重点を置いた研究内容となるが、形態制御された試料から得られる各種データと、前年度に取得したデータを常に比較検討することで、最適な材料設計および基礎学理の体系化を進めていく。 また、今年度から3次元プリンタに関する多額の予算が計上されており、この分野においてセラミックスの高次元で制御された粉末の需要は高まると予想されることから、学会発表をはじめとする広報にも注力していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
26年3月開催の学会参加費の支払いが翌年度に持ち越しとなった。 4月3日付で執行済み。
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Research Products
(6 results)