2014 Fiscal Year Annual Research Report
津波堆積物を用いた日本海東縁の地震・津波と日本海溝沿い巨大地震との関係の解明
Project/Area Number |
25870062
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 大助 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50436078)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 日本海東縁 / 地震 / 津波 / 堆積物 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本海東縁部における歴史・先史地震・津波を,東北地方太平洋沿岸で生じた既往の巨大地震との関連から検討するために,青森~山形の沿岸地域において,869年貞観地震・1611年慶長三陸地震など,東北地方太平洋沖の巨大地震の前後の年代に相当する津波痕跡を対象に調査・研究を行った.庄内平野沿岸部で掘削調査を行った結果,海岸から2.5-3.0kmの日向川河口付近、および海岸から1.5-1.8kmの月光川河口付近においてイベント性の砂層が複数確認された。放射性炭素同位体年代測定の結果、日向川地点の砂層は11世紀に、月光川地点の砂層は8-9世紀よりも後の時代に形成されたことが判明した。いずれも、貞観地震よりも後の年代に対応すると考えられる。また、日向川地点では4世紀頃に形成された砂層も確認された。微化石(珪藻)分析の結果、イベント性砂層には汽水性種が含まれ、周囲の氾濫原堆積物とは種構成が異なることが明らかになった。これは、砂層の堆積時に、河川を通じて汽水域からの物質供給が生じたことを示すと考えられる。津波数値解析によりイベント層の形成と津波氾濫との関連を検討したところ、モーメントマグニチュード7.7の想定地震による津波では、調査地点まで津波が到達し、砂層を形成する可能性は小さいことが判明した。海底地形および音波探査記録に基づき酒田沖での海底斜面崩落による津波発生の可能性を検討した結果、河川遡上と内陸部への氾濫によって調査地点に津波が到達することが明らかになった。本研究の結果、貞観地震の前後で津波発生が頻繁であった証拠は見つからなかったが,地震以外の原因で大規模な津波が発生していた可能性があることが示された.
|
Research Products
(3 results)