2013 Fiscal Year Research-status Report
クローナル植物を用いた低線量放射線被曝の遺伝的評価
Project/Area Number |
25870080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
兼子 伸吾 福島大学, 共生システム理工学類, その他 (30635983)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 次世代シーケンサー / 同一クローン / モウソウチク / 福島 |
Research Abstract |
初年度は、福島県内において放射線量の高い地域と低い地域、および広島県など地質により自然放射線量が高い地域について、計5か所程度の現地調査、サンプルの採取を行うことを計画していたが、サンプルの採取許可の取得等が予想より順調に進んだため、現地調査やサンプルの採取地点を大幅に増やした。具体的には、福島県、宮城県、福井県、兵庫県、島根県、山口県の計18カ所において現地調査およびサンプルの採取を行った。福島県内においては、相馬市、南相馬市、福島市、川俣町、飯舘村、浪江町、大熊町、いわき市からサンプルを採取し、0.36~7.80μSv/hの様々な空間線量の環境下に生育するタケノコのサンプルおよび土壌を採取することができた。 土壌サンプルの放射性物質の計測については、予想より、多数のサンプルが採取できたこと、遺伝解析に用いるサンプルを増やしたことから、作業効率を考慮し当初の計画を変更し、遺伝解析によってデータが得られたのちに計測することとした。 モウソウチクのクローン解析については、申請者らによって開発されたマイクロサテライトマーカー(Kaneko et al. 未発表) を用いて、日本国内のモウソウチクが同一クローンであることを順次確認している。ただ、新たに開発されたマーカーによってモウソウチクの原産地である中国のサンプルを解析した結果は、中国の一部の地域においては、複数クローンが存在することを示唆していた (Jiang et al. 2013)。今後、検証が必要である。 次世代シーケンサーによる解析については、当初は、RADマーカー解析は、予備実験の結果、今回に解析においては必ずしも最善の手法ではないと考えられたことから、研究協力者の陶山佳久準教授(東北大)が開発中の手法で解析を行うこととし、現在、解析の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、サンプルの採取許可の取得等が予想より順調に進んだため、現地調査やサンプルの採取地点を大幅に増やすことができ、特に、福島県内においては、十分なサンプルを得ることができた。 一方、次世代シーケンサーによる解析については、当初は、RADマーカー解析を行う予定であった。しかし、予備的な解析の結果、解析の最初のプロセスである制限酵素処理が安定しないため、モウソウチクにおいて多数のサンプルで解析を行うには、RADマーカー解析は必ずしも適さないと考えられた。そこで、研究協力者の陶山佳久準教授(東北大)が開発中の手法で解析を行うこととし、現在、解析の準備を進めている。本手法は、RADマーカーよりも、解析できる遺伝子座数は少なくなると考えられるものの、多数のサンプルが比較的低コストで解析できるメリットがあり、RADマーカーであれば集団毎にしか解析できなかったサンプルが、個体毎に解析することができ、より詳細なデータが得られることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
モウソウチクの現地調査およびサンプルの採取は、昨年度、当初計画していた以上のサンプルが採取できたため、本年度の調査は行わない。 採取したモウソウチクのクローン解析については、申請者らによって開発されたマイクロサテライトマーカーによって引き続き解析を行うとともに、中国において複数のクローンを検出した新しいマイクロサテライトマーカーも使用して、日本国内に生育しているモウソウチクが同一クローンであることを確認する。 次世代シーケンサーによる解析では、現在開発中の手法で解析を行い、得られた結果に応じて、次年度の解析やサンプリングを計画するとともに、論文の執筆等を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に使用予定の旅費が、わずかに想定金額よりも低くなったため。 旅費として使用する予定である。
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