2013 Fiscal Year Research-status Report
シミュレーションとロボットを用いた四足動物の移動パターン生成原理の究明
Project/Area Number |
25870084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
福岡 泰宏 茨城大学, 工学部, 准教授 (40418679)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シミュレーション / 4足モデル / 歩容 / CPG / ロコモーション |
Research Abstract |
4足動物は低/中/高速において移動パターン(脚の動かし方)をwalk→trot→gallop と変化させることが知られている.生物学では,この3つの移動パターンは神経内に既存であり,それらを移動エネルギーが最少になるように速度に合わせて切替えていると報告されているが,個々の移動パターンがどのように神経内に構築されたのかは不明である.しかし,申請者が行った4足歩行シミュレーションにおいて,速度変化と共に生じる胴体揺動変化に応じて,唯一プログラムに設定しているtrot からwalk,gallop が自然発生することを発見していた.平成25年度は,当初計画通り,この詳細なメカニズムを明らかにするべく,シミュレーションでの詳細な定量分析を行った.その結果,walkとgallopはtrotを基盤とし,左右脚間と前後脚間で位相差が生じることによって自律的に発生することがわかった.また,walk,trot間のパターン遷移は滑らかな速度遷移として行われる一方,trotからgallopへのパターン遷移中の速度は著しく上昇することがわかった.これは加速度を様々に変化させても生じている.この結果は実際の動物にも生じている結果である.また,シミュレーションモデルに数種の錘を載せて遷移状態を調べることで,遷移速度と移動パターンの関係性を検証した.その結果,数種類の錘を載せた場合でも,錘を載せていないときと同じ速度でwalk, trot間,trot, gallop間を遷移することがわかった.この結果についても生物学で述べられている動物実験と同様の結果である.これらの成果はバイオメカニクスの専門論文誌,Biological Cybernetics において発表されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
綿密なシミュレーションにより移動パターン遷移のルールを探るという当初の計画はほぼ達成されているが,それに加えて,当初は計画していなかった,足にかかる負荷での移動パターン遷移の実現,およびそのルールの提案にも成功している.これは生物学における有用な知見の提供となる可能性が高い.現在論文を執筆中である.さらに,次年度の計画であったロボットの製作も同時進行で行った.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,計画書の予定通り,シミュレーション同様の現象をロボットで実現することを目指す.また,上述した足にかかる負荷によって起こる移動パターンの遷移に関してさらに,シミュレーションとロボットで真理を追究して行く予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究に携わる人員の減少から,当初予定していたソフトウェアライセンス料,およびパソコンに費用がかからなかったためであるが,優秀な少ない人材で予定以上の結果を得ることができた. 歩行実験装置の追加制作費にする予定である.
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