2014 Fiscal Year Research-status Report
沈降粒子生成量に対する海洋酸性化の影響-酸性化は生物ポンプを停滞させるのか?-
Project/Area Number |
25870095
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
和田 茂樹 筑波大学, 生命環境系, 助教 (60512720)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海洋酸性化 / 沈降粒子 / 生物ポンプ / 植物プランクトン |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に製作した培養タンクを用い、1) pHを調整しない試験的培養と、2) pHを調整した酸性化の影響評価のメソコスム実験を実施した。 1) pHを調整しない試験的培養 自然海水を培養タンクに導入し、栄養塩を添加して約3週間に渡って自然光下で培養を行った結果、海水中の植物プランクトンのブルームに追随して沈降フラックスのピークが現れた。植物プランクトンと沈降フラックスの動態の間の関係性が見られたことは、水柱からの沈降粒子形成の過去の知見を一致するものであり、沈降粒子の生成プロセスの経時変化を追跡する上で、製作した培養タンクの有効性を示すものとなった。 2) pHを調整した酸性化の影響評価 自然海水を培養タンクに導入し、栄養塩の添加と共にpHを7.7-8.1に調整して培養を実施した。その結果、植物プランクトンの細胞サイズや種組成には変化が見られたものの、沈降フラックスに対する明確な影響は表れなかった。この結果は、植物プランクトンに対する酸性化の影響が、必ずしも生物ポンプへの影響として直結するものでないことを示唆している。ただし、本実験では沈降フラックスの見積もりにおいてタンク間の誤差の影響も大きく、明確な結論を導き出すことができないというのが現状である。そこで、pHの変化幅を7.6-8.1程度に広げて酸性化の影響をより明確に観察できるような形とし、最終年度である今年度は再度pHを調整した実験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に沿って、初年度に培養器の製作を実施した。二年目である26年度は、製作した培養器を用いて試験的な培養実験と、本格的な培養実験の実施を行うことができ、日本海洋学会秋季大会でもその成果の発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度得られたデータの詳細な解析と、タンク間誤差という問題点を考慮したうえでの再実験を行う予定である。また、培養タンク内で生成した沈降粒子の量的な妥当性を検証するため、自然環境下から沈降粒子の採取を行い、培養タンク内で採取された沈降粒子との定性・定量的比較を予定している。
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Research Products
(1 results)