2015 Fiscal Year Research-status Report
非言語性知能検査UNITを利用した多文化心理教育アセスメントモデルの開発
Project/Area Number |
25870100
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
島田 直子 筑波大学, グローバルコモンズ, 研究員 (50596111)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 心理アセスメント / 多文化 / 外国人児童生徒 / 帰国子女 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は多文化背景を持つ児童生徒への心理教育的アセスメントのモデルを開発することを目的とする。近年、国際化が進み、文化間移動を経験し、母国以外で教育を受ける子どもたちをどう支援していくかが重要な問題となっている。その問題の解決に寄与するため、本研究では米国で多文化心理教育アセスメントに広く使用されているUniversal Nonverbal Intelligence Test:UNITを日本で使用した場合の得点の信頼性と妥当性について検証する。 本年度は、昨年度より査読中であった、多文化背景の子供たちに対する知能検査の利用に関する論文の修正作業を行ってきた。また、UNITの信頼性と妥当性を検討するための調査を本格的に開始した。、まず、調査募集機関として、外国籍の子供が多く在籍する小学校、外国人支援NPO団体、外国人教会、外国人学校、国際交流協会、子育て支援団体と調査の事前説明と打ち合わせと行った。調査は、研究代表者を含め、調査員9名で調査を実施した。平成27年度末時点で179名分の調査データを収集し、統計分析に必要なデータ数を確保した。UNITに加えて、2016年1月にUNITの改訂版が発売されたため、そのレビューを行い、UNIT2に関しても同様の調査を開始した。また、日本心理学会、日本学校心理学会で多文化心理支援に関するポスター発表を行うとともに、情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を進めるにあたり、なぜ多文化心理教育アセスメントには通常とは異なる方法が必要なのかということを整理する必要があると考えたため、その点についての論文執筆を行ってきたが、本年度はその論文原稿の査読結果に対する修正作業を行った。その結果、27年度末時点で修正採択となった。 昨年度、UNITの改訂版が出版されるという情報を得たため、改訂版での調査の実施を計画した。そのため、調査の開始を一時保留していたが、2015年9月時点でその発売が見込めなかったために、UNITの現行版でデータ収集を開始した。2015年3月末時点で、UNITに関しては、日本人81人、韓国人15人、中国人24人、フィリピン15人、ブラジル15人、のデータを収集した。加えて、2016年1月にUNITの改訂版が発売されたため、UNIT2を新たに購入し、検査内容についてレビューを行った。UNIT2の発売に伴い、開発者との協議の上、今後UNIT2に関しても同様の調査を進められるようにUNITの調査数を変更し、一部調査の実施をUNIT2の使用に切り替えた。UNIT2に関しては、日本人2人、韓国人4人、中国人2人、フィリピン11人、ブラジル10人分のデータを収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、まず、平成27年度に修正採択となった論文について、最終調整を行い正式に採択されるための修正作業を行う。また、UNITおよびUNIT2について,統計分析を行い,これらの検査を日本で使用した場合の信頼性と妥当性について検討を進める。分析の結果は,ICP2016(横浜)と多文化間精神医学会(宇都宮)で発表を予定している。また、APA年次大会に参加し,出版社との打ち合わせや多文化アセスメントに関する情報収集を予定している。 分析の結果に基づいて,UNITが日本の文化と言語マイノリティの子供たちに利用できるかという点について検討を進めたうえで、UNITを利用したアセスメント事例研究を行い、UNITを利用した多文化心理教育アセスメントの方法について検討する。
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Causes of Carryover |
本年度の予算は、ほぼ計画通りに使用したが、UNITの改訂版が発売されたことにより、当初予定していた調査数を一部変更したため、調査実施のために確保しておいた予算に変更が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度の費用については,主に学会参加のために必要な経費に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] 島田直子2015
Author(s)
米国のスクールサイコロジストの多文化支援
Organizer
日本学校心理学会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
2015-07-09 – 2015-07-09