2014 Fiscal Year Research-status Report
小中学生のいじめ場面の行動における罪悪感と共感性に関する検討
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25870106
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
石川 隆行 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (50342093)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | いじめ場面 / 罪悪感 / 共感性 / 小学生 / 中学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は小中学生を対象として、いじめ場面の行動における罪悪感と共感性を質問紙により測定し、いじめ場面の行動による罪悪感と共感性の関連を検討することが目的である。 当該年度は、本研究の目的にもとづき、研究の第Ⅱ段階として中学生を対象とした質問紙調査を実施した。研究対象者は中学校1年生、中学校3年生であり、男女あわせて760名であった。対象者には、いじめ場面の加害、観衆および傍観行動における罪悪感を測定する質問紙と共感性を測定する質問紙を配布し、回答を求めた。いじめ場面については、研究の第Ⅰ段階である小学校調査と同様、身体的いじめ、言語的いじめ、仲間外れおよびメールでの悪口場面を設定した。 中学校1年生と3年生を対象として質問紙調査を実施し、得られた回答を分析した結果、いじめ場面の行動における罪悪感については、加害行動による罪悪感において女子の殴る場面の罪悪感得点が最も高く、傍観行動による罪悪感については、中学校3年生において男女ともに悪口場面の罪悪感得点が最も低かった。さらに、観衆行動における罪悪感において、中学校1年生の殴る場面の罪悪感得点が最も高かった。また、罪悪感と共感性の関連を検討したところ、すべてのいじめ場面において共感的関心と気持ちの想像との間に有意な正の相関関係が認められた。 これにより、中学生ではいじめ場面において学年や性別によって罪悪感の喚起が異なること、また共感性における共感的関心と気持ちの想像を育むことによって、いじめ行動を抑制できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の予定としていた研究の第Ⅱ段階である中学校における質問紙調査を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度については、当初の研究実施計画にもとづき、研究の第Ⅲ段階である小学校調査(第Ⅰ段階)と中学校調査(第Ⅱ段階)をあわせた総合的な分析、検討を実施する。これにより、いじめ場面の罪悪感と共感性について、小学校から中学校までの発達的変化の様相を明らかにできる。
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