2013 Fiscal Year Research-status Report
日本人英語学習者における英語形態素処理に関する脳内メカニズム:事象関連電位研究
Project/Area Number |
25870107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
立田 夏子 宇都宮大学, 基盤教育センター, 特定科目担当教員(英語) (50364831)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 第二言語処理 / 事象関連電位 (ERP) / 英語形態素処理 / 生成文法 / P600 / LAN / N400 |
Research Abstract |
本研究は、日本人英語学習者にとって習得が難しいと言われている英語の三人称単数現在 (三単現-s) と過去形-edの処理に関する脳内メカニズムを、1) 英語接触開始年齢、2) 英語習熟度、3) 英語と日本語の言語学的相違点・類似点という三要因の観点から、事象関連電位 (ERPs) を用いて解明することを目的とする。更に、日本における英語教育への脳科学データの応用へと展開するための研究基盤を確立する。平成25年度は、基礎研究として、脳波解析ツール (EEGLAB/MATLAB) 操作スキルの習得と新解析方法の開発、その後、日本人英語学習者における、三単現-sと過去形-edの処理に関する脳内メカニズムの解明を研究実施計画とした。 今年度は、解析ツールのスキルを習得し、一方で、これまで分析・検証してきたことを国際ジャーナル (Second Language Research) に投稿した。現在は、脳波データの解析方法の開発を進めており、各種データの再解析を行っている。また、投稿論文に対して、査読者から多角的なコメントが寄せられたため、更にデータを検証して再投稿の準備を進めている。 今後は、データをより詳細に解析するための最適な脳波解析方法を開発し、日本人英語学習者における、英語形態素処理に関する脳内メカニズムのモデル構築を予定である。 今後、さらに詳細な解析を行うことにより、日本人英語学習者と英語母語話者との質的・量的な英語形態素処理の違い、更にその違いを生じさせる要因を脳生理学的に解明することが可能となり、日本における英語教育への応用に寄与できるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、多チャンネル脳波 (128電極) を用いて、約250名の成人を対象にERP実験を行ったが、この多チャンネル脳波を用いて大人数を対象とした第二言語(外国語) 処理研究は、前例のきわめて少ない新規性が高い研究である。そのため、最適な脳波解析方法の開発に多くの時間を要する。今年度は、これまでの解析を踏まえつつ、予備的な解析を基に、日本人英語学習者における、英語形態素処理に関する脳内メカニズムを検討し、論文を投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
脳波解析ツールの操作スキルを更に習得し、最適な脳波解析方法の開発が必須である。この開発がクリアできれば、本研究の目的は達成できると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MATLABの講習・講義を受講する機会があまりなかったために国内旅費に、また、国際ジャーナルに投稿はしたものの、現段階ではまだ受理されていないために論文投稿関係費に、次年度使用額が生じた。 最適な脳波解析方法の開発するためのMATLABの講習・講義の受講費用と、現在再執筆中の論文の発表と再投稿の費用に使用する。
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