2014 Fiscal Year Research-status Report
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25870108
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
守山 拓弥 宇都宮大学, 農学部, 講師 (70640126)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生物相 / 水田 / 水生生物 / 江戸期 / 栃木 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は、以下の2項目について研究の進捗があった。 1)産物書上帳を用いた栃木県における享保年間の水生動物相の推定 わが国では1730年代に産物調査が全国規模で行われている。その成果は『諸国産物帳』として幕府に提出されていた。栃木県にはその下書き段階の史料である「産物書上帳」が残されている。こうした史料には、当時の生物相が記されている。そこでそれらの史料に書かれた水生動物相を現代のそれと比較検討した。その結果、識別精度は現代と変わらないことがわかった。当時の農民が生物種を正確に確認し識別できる分類学的知識を持っていたことが明らかになった。こうした内容を投稿中である。 2)地理情報を利用した栃木県における土地利用変遷に関する研究 生物相の推定から、江戸期に生息していた生物の生息マップを構築するにあたり、対象地域にのこされた地理情報を調べ、それらのGIS上での統合を行った。対象は、産物書上帳の残された地域に近く、かつ地理情報が県内でも最も残された上三川町を対象とした。その結果、明治期の迅速測図が明治13年のものと、明治25年のものがそれぞれ残されていることが確認された。また、米軍写真のオルソ化の手法も検討し、成功した。さらに、それらをGIS上で統合した結果、水田面積の変化は明治期から戦後まで大きな変化はないものの、草地は減少していることが確認されるなど、GIS上での統合により土地利用の変化を読み取ることが可能であることが確認された。この成果は、平成27年度の農業農村工学会にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究は、計画通り進めている。一方で、産物書上帳の記載名称と現生生物の種名との関係について、地方名等から明らかにされない種もあり、その確定作業が予定より約半年ほど遅れている。江戸期の生物相のマップ化については、その基盤となる地理情報(地図及び空中写真)の現存状況とGIS上での統合の手法について、一定程度の成果を得ている。一方で、産物書上帳の残されたエリア全域についての地理情報のポリゴン化等の処理に時間を要しており、予定より若干の遅れがある。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で、若干の遅れは見られるものの、研究の方向についてはこれまでと同じである。ただし、史料を精査する過程で、対象としている資料には水生生物に限らず、様々な動植物の記録が残されていることがわかってきたため、対象を水生生物以外に広げ研究する方向である。
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Causes of Carryover |
次年度の計画に繰越使用するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度の額に併せ、必要なソフトの購入に当てる予定。
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Research Products
(1 results)