2014 Fiscal Year Annual Research Report
安定な反芳香族縮環炭素パイ電子系化合物の系統的合成と物性探求
Project/Area Number |
25870112
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
加藤 真一郎 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (70586792)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 反芳香族性 / パイ共役 / ペンタレン / 電気化学 / 近赤外吸収 / 共役炭化水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
周辺8π電子系反芳香族性を有するペンタレンにベンゼンまたはナフタレンが縮環した種々の化合物の合成と諸物性の検討を遂行した。独自の手法により合成したジケトン体を鍵中間体とし,これにリチウムアセチリドを付加させ,次いで還元反応に付すことでベンゾ及びナフトペンタレン誘導体の合成に成功した。量子化学計算により,得られたペンタレン誘導体の反芳香族性は,ペンタレンと芳香環の縮環部位の結合次数に大きく依存することが明らかになった。すなわち,反芳香族性はベンゼンの炭素-炭素結合,ナフタレンの1,2位,及び2,3位結合の結合次数を反映した。また,吸収スペクトルおよび電気化学測定の結果,反芳香族性の増大とともにHOMOが上昇し,LUMOが低下することにより,HOMO-LUMOギャップが小さくなることがわかった。さらに,ペンタレン部位にアセチレンを介して芳香環を導入することで,共役が有効に拡張することを見出した。 次に,種々の置換基を有するペンタレン誘導体を合成し,その物性を詳細に調べた。置換基の種類によって光学的ギャップはほとんど変化しないが,色調は大きく変化することが明らかになった。ジメチルアミノ基を有する化合物においては明確な正のソルバトクロミズムが観測され,ジメチルアミノ基とペンタレン部位をそれぞれ電子供与性部位,電子求引性部位とする分子内電荷移動相互作用が働いていることがわかった。また,電気化学測定により,HOMOレベルとLUMOレベルはいずれも置換基の電子的性質を反映することが示された。さらに,ジケトン体に対するリチウムアセチリドの付加反応において,一付加目が位置選択的であることを見出し,電子供与基と求引基を併せ持つ化合物の合成にも成功し,置換パターンの違いによって物性に違いが生じることを明らかにした。
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[Journal Article] A Series of p-Extended Thiadiazoles Fused with Electron-Donating Heteroaromatic Moieties: Synthesis, Properties, and Polymorphic Crystals2015
Author(s)
Shin-ichiro Kato, Takayuki Furuya, Masashi Nitani, Naoya Hasebe, Yutaka Ie, Yoshio Aso, Toshitada Yoshihara, Seiji Tobita, Yosuke Nakamura
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Journal Title
Chemistry-A European Journal
Volume: 21
Pages: 3115-3128
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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