2013 Fiscal Year Research-status Report
新規ミトコンドリアレポーターによる活性酸素代謝の高感度生体解析
Project/Area Number |
25870118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
及川 大輔 群馬大学, 生体調節研究所, 研究員 (20455330)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 活性酸素 / 酸化ストレスレポーター / 炎症シグナル / IL-1β / in vivoイメージング |
Research Abstract |
活性酸素は、多くの生物が酸素呼吸によって生命エネルギーを得る際にミトコンドリアから生じる副産物であり、様々な生体分子の機能を阻害する「悪玉」物質として知られる。従来、この活性酸素による生体ダメージを簡便に検出する手法は存在せず、社会的な注目度の高さに相反して、その動物個体レベルの研究は実質的に停滞していた。本研究では、このような現状を打開すべく、最近、申請者が独自に開発したレポーターシステム(OKD48 システム)を利用し、さらに、そこから派生する新たな検出技術(ミトコンドリアレポーターを含む)を組み合わせ、それらを多面的に活用することで、これまで実現不可能だった動物個体レベル(in vivo)の活性酸素代謝とそのダメージについて、多次元的な視点から解析・研究を行うことを目的として、研究を展開する。 具体的な実施項目としては、(i) OKD48 システムを用いた活性酸素ダメージの動物個体(in vivo)解析、(ii) OKD48 システムの高度化、(iii) 活性酸素の発生をモニターする新規レポーターシステムの構築、の3点を挙げていた。 (i)、(ii)については、当初の計画に従い、OKD48システムを利用した生理条件下での酸化ストレスシグナルの解析、および、既存のOKD48システムのLuciferase部分を他のレポータータンパク質に変換した改良型OKD48の機能評価を進めた。(iii)については、PINK1の分子制御機構を利用したミトコンドリアストレスレポーターの開発を目指したが、現在までに高い機能性を有するものを確立出来ていない。また、これ以外に、IL-1βが生体内で受ける制御機構を利用した新たなレポーターシステム(炎症レポーター)の構築に着手しており、非常に有用な結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上述したように、当初の実施計画の(i)、(ii)項目については、計画通り順調に進んでいる。その一方で、(iii)項のミトコンドリアストレスレポーターについては、計画したPINK1の制御機構を利用したアプローチでは、機能性の高いレポーター作成は難しいと考えられ、発想の転換あるいは別のミトコンドリアストレスシグナルの制御機構を利用する必要があると考えている。また、最大のポイントは、IL-1βのシグナル制御機構を利用した炎症レポーターの作成が順調に進んでいることにある。現在までに、培養細胞を用いて、レポーターシステムの構築と最適化、さらには機能性評価が終了しており、実際に炎症シグナルを高いレベルで検出することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の計画に従って上述の(i)、(ii)項を進める他(改良型OKD48システムを利用したマウス個体でのin vivoイメージングを含む)、新たに開発を進めている炎症レポーターについて、レポーター遺伝子を備えた遺伝子改変マウスを作成し、実際にマウス個体レベルでの炎症シグナルを捉えることが出来るか確認し、マウス個体における炎症動態を評価する新たな高感度レポーターとして確立して行く。
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