2014 Fiscal Year Research-status Report
色彩療法とニューエイジ:スピリチュアル・ブームの表象文化論的研究
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25870120
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
加藤 有希子 埼玉大学, 基盤教育研究センター, 准教授 (20609151)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ニューエイジ / スピリチュアル / 自己啓発 / 色彩療法 / 積極思考 / セラピー文化 / ナラティヴ・セラピー / 現代資本主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は全般を通じ単著『ニューエイジ、スピリチュアル、自己啓発とはなにか?――カラーセラピーから現代資本主義の信仰を考える』(出版社サンガ)の執筆を進めた。この著作は、本研究「色彩療法とニューエイジ:スピリチュアル・ブームの表象文化論的研究」の成果として、2015年度末に出版の予定である。 2014年度はこの単著の第一章に充てる文章として加藤有希子著「色彩療法オーラソーマ参与観察2014年8月、いかがわしさと常人性のはざまで」(外山紀久子編『気の宇宙論・身体論musica mundane』、埼玉大学教養学部、リベラル・アーツ叢書6、埼玉大学教養学部・文化科学研究科、2015年3月、67-98頁)を上梓した。これは都内のカラーセラピーの拠点を参与観察した結果を報告した文書で、本研究の研究成果として必須の研究成果である。 また同著第四章に充てる文章として加藤有希子著「ポジティヴじゃなきゃだめなのか?――積極思考の功罪と現代資本主義の信仰」(立命館大学生存学研究センター編『生存学』、Vol.8、263-276頁)を出版した。これは現代のセラピー文化や自己啓発、スピリチュアルなどのあらゆるキッチュな実践を貫く「積極思考(ポジティヴ・シンキング)」について考察した文書で、本研究の核心部分となる研究成果である。 2014年度はこのような形になる研究成果を出すとともに、単著の他の部分の調査、たとえばセラピーにおけるナラティヴの機能や、19世紀のオーラ言説の形成に関する調査を行った。これらは2015年度に出される単著において、すべて発表される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最大の目標は、ニューエイジ、スピリチュアル、自己啓発などのキッチュな現代資本主義社会の実践の役割と本質を、色彩療法の参与観察を通じて、世間に周知することである。そのために2015年度末に単著『ニューエイジ、スピリチュアル、自己啓発とはなにか?――カラーセラピーから現代資本主義の信仰を考える』(出版社サンガ)を出版する。現在までのところ、全五章のうち、第一章と第四章を論文として発表した。まだ第三章と第五章は、論文として発表はせず書き下ろす予定であるが、ほぼ書き終えている。残すところ第四章のナラティヴ論のみである。2015年度はこの第四章を書き終えることと、著作として全体を統一することが課題である。したがって、2015年度内に単著を出版できることはほぼ確実であり、おおむね順調に推移していると判定してよい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は科研費の資金援助を得られるのは、残すところ2015年度のみとなった。上述したように、この最終年度は単著『ニューエイジ、スピリチュアル、自己啓発とはなにか?――カラーセラピーから現代資本主義の信仰を考える』(出版社サンガ)を完成させることが仕事である。そして残る執筆は第四章のナラティヴ・セラピーの役割と、全体の調整のみとなっている。現在のところ、2015年9月までにすべての執筆を終え、残り数か月をサンガの編集者とともに編集に費やし、年度内に完成度の高い著作を出版する予定である。 また研究代表者は2015年度から埼玉大学にて「大学と出会う・現代信仰論」という現代社会の信仰問題を取り扱うゼミを担当している。この授業では本研究の内容を随時取り上げているが、20人の定員のところ90名以上が登録するなど、大変人気の高い授業となっている。このことは現代のキッチュな信仰に対する世間の、特に若い世代の関心の高さを物語っており、本研究の研究成果として単著を出版の後は、教科書として使用する予定である。このことにより本科研研究の成果を若い世代に伝えることにもつながるだろう。
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Causes of Carryover |
事務手続き上のミスである。事務方からは全額使用済みと聞いていたため、それを信じたが、実際には残額が出てしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
書籍等の購入にあてる。
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Research Products
(2 results)