2014 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク接続型環境見守りシステムを題材とした組込み技術教育のための教材開発
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25870122
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
荻窪 光慈 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (00431726)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 産業・技術教育 / 教材開発 / 組込み技術 / マイコン / ネットワーク / インターネット |
Outline of Annual Research Achievements |
組込み技術関連産業は、我が国の国内総生産(名目GDP)の13.5%(平成19年)を占めており、組込み技術は我が国の基幹産業として、我が国の豊かさの源泉になっている。しかしながら、組込み技術は、従来、学術的に重視されておらず、また、学校教育でもほとんど取り扱われていない。その結果、組込み技術者は慢性的に不足しており、その育成が喫緊の課題となっている。特に今後の学校教育において、組込み技術と現代社会との関係を適切に評価する態度を養いながら、組込み技術に関する理解を深める必要がある。 そこで、本研究課題では、①高機能な32ビットマイコンを活用したネットワーク接続型環境見守りシステムを題材とし、最先端の組込み技術事例について児童・生徒に体験的に学習させる教材を開発すること、②開発した教材を活用して、学習効果を高める授業構成やカリキュラムを構築すること、を目的とする。その結果、児童・生徒が組込み技術に積極的に関与する態度が期待できるとともに、我が国の組込み技術産業・ものづくり産業に積極的に関与する人材の育成に資することが期待される。 平成26年度には、前年度に引き続き、以下に示す各事項について実施した。 1.児童・生徒の実態把握及び新学習指導要領における組込み技術教育に関する教育題材の検討に努めるとともに、それらの結果に基づき、組込み技術教育に関する製作題材を含む、授業構成及びカリキュラムの構築並びに授業実践に関する検討に着手した。 2.32ビットマイコンを活用した体験的学習のためのネットワーク接続型組込み技術教材の開発として、学校教育現場において製作可能な教材としての基礎的機能の実現を指向しながら、低コスト化を意識して開発を進めた。具体的には、センサ出力値が一定の閾値を超えたことを、インターネット(短文投稿サイトや電子メール)を通じて、遠隔地に居る人に通知可能なシステムを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学校教育現場における製作及び活用を指向したネットワーク接続型組込み技術教材の開発については、取り扱いが容易なDIP(Dual In-line Package)タイプのICパッケージの32ビットマイコン、及び、ZigBee通信規格並びに無線LAN(WiFi)通信規格に準拠した無線通信モジュールを用いて、センサ出力値が一定の閾値を超えたことを、インターネット(短文投稿サイトや電子メール)を通じて、遠隔地に居る人に通知可能なシステムを構築することに成功している。 また、新学習指導要領における組込み技術教育に関する教育題材、及び、授業構成並びにカリキュラムに関する検討については、従来から市販されている組込み技術教材や、近年新たに市販されるようになった組込み技術教材に関する調査を進め、それらの組込み技術教育への適用に関する教育場面や活用事例等の収集・検討に関して、知見が得られつつある。 以上のことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
学校教育現場における製作及び活用を指向したネットワーク接続型組込み技術教材の開発については、これまでに進捗している無線通信に加えて、有線通信によるネットワーク接続型組込み技術教材の開発を進める。また、これまでのネットワーク接続型組込み技術教材がクライアントとして機能していたのに対して、サーバとしても機能し、インターネットを通じた外部(ユーザ)からの要求にも応えられる、双方向性かつリアルタイム性を有するネットワーク接続型組込み技術教材の開発にも着手する。 また、新学習指導要領における組込み技術教育に関する教育題材、及び、授業構成並びにカリキュラムに関する検討については、近年、高性能かつ安価なコンピュータボードの種類が特に増えていることから、それらの組込み技術教育への適用可能性を含めて、教育場面や活用事例等の収集・検討を進めながら、具体的な実践を念頭に置いて授業構成並びにカリキュラムに関する検討を行う。
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Causes of Carryover |
学会発表の開催地として、近郊の大学が多かったこと、また遠方であっても、航空旅客運賃の低価格化等の要因によって、旅費の支出額が抑制されたことが主たる理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遠方(国内及び国外)を含めて、より良い研究成果の発表の機会を得るために、次年度に有効に活用する予定である。
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Research Products
(7 results)