2013 Fiscal Year Research-status Report
大腿骨頭壊死症における痛みの可視化と新規治療戦略の開発
Project/Area Number |
25870125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中村 順一 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (80507335)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 疼痛機序の可視化 |
Research Abstract |
大腿骨頭壊死症の疼痛機序を可視化し、新規治療戦略を開発するために、高磁場MRIによる関節軟骨の質的評価を行った。T2マッピング法を用いて大腿骨頭壊死と臼蓋形成不全の股関節軟骨を比較した。対象は圧潰のない無症候性ステロイド性大腿骨頭壊死17股及び臼蓋形成不全4股である。年齢、性別、center-edge angle、Sharp angle、acetabular head indexに有意差を認めなかった。大腿骨頭壊死は臼蓋形成不全より骨頭全層T2値(35.9msec vs 32.3msec, p=0.0122)及び表層T2値(37.3msec vs 32.4msec, p=0.0031)が有意に高く、臼蓋T2値(37.4msec vs 38.7msec, p=0.3244)が低い傾向を示した。大腿骨頭壊死において、骨頭表層T2値は全層T2値より有意に高かった(p=0.0049)。臼蓋形成不全では骨頭表層T2値と全層T2値に有意差を認めなかった。 また、これまでのステロイド性骨壊死のMRI研究の成果を振り返り、今後の動向を予測するために、PubMed検索によるシステマティックリビューを行った。「osteonecrosis」、「steroid」、「MRI」をキーワードで検索すると194件が該当し、このうち、外傷とreview articleを除外した原著論文数は142件であった。1983年から、10年毎の論文数、国、研究デザインについて調査した。論文数は過去30年間で、1983-1992年13件、1993-2002年46件、2003-2012年83件と飛躍的に伸びていた。国別に見ると、1位日本、2位アメリカ、3位中国であった。研究デザインではヒトを対象とした臨床研究が多いが、遺伝子や動物実験の基礎研究が増加傾向であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究目的(1)ヒト高磁場MRIによる関節軟骨の質的評価のうち大腿骨頭壊死症患者における股関節軟骨の質的評価について、成果を上げることができた。第28回日本整形外科学会基礎学術集会と第40回日本股関節学会学術集会にて口頭発表を行った。データをまとめ英文雑誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 高磁場MRIによる関節軟骨の質的評価(平成26年度) 健常成人10例20股を対象とし、ガドリニウム遅延相軟骨造影(delayed Gd-DTPA enhanced MRI of Cartilage; dGEMRIC)、T2 mapping、T1 rhoを撮影する。各シークエンスで骨頭及び臼蓋の関節軟骨の厚み、信号強度、局在分布を測定し、軟骨基質の多角的な評価を行う。 (2) 拡散強調MRIによる股関節周囲の神経支配の可視化(平成26年度) 健常成人10例20股と大腿骨頭壊死症10例20股を対象とし、拡散強調画像(diffusion weighted image; DWI)によるApparent Diffusion Coefficient(ADC)値計測と神経描出(neurography)を行う。 (3) 磁気共鳴スペクトロスコピーによる疼痛の可視化(平成27年度) 大腿骨頭壊死症10例20股を対象とする。脳視床の磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)によりNアスパラギン酸(NAA)を測定する (4)有限要素法による股関節の力学評価 (平成27年度) (5)三次元実体模型と三次元ソフトウェアによる手術支援 (平成26年~28年度)
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は学会参加が予定より少なかったため旅費がかからなかった。また全体として研究費の節約に務めたため次年度使用額が生じた。 次年度は国際学会への参加を予定しているため外国旅費がかかることを予定している。次年度使用額を充填する計画である。
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Research Products
(8 results)