2013 Fiscal Year Research-status Report
ウィントシグナル伝達経路制御を目指した天然物ケミカルバイオロジー
Project/Area Number |
25870128
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
當銘 一文 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80563981)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ウィント / Xylocarpus granatum / Calotropis gigantea / β-catenin / 放線菌 / Ricinus communis / calotropin / xylogranin B |
Research Abstract |
本研究の目的は①先行研究において見出している強力なウィントシグナル阻害化合物の作用機序の解明を行うことと,②新たなウィントシグナル調節作用をもつ天然化合物の発見,その作用機序の解明である. ①Xylocarpus granatumより見出したリモノイド化合物xylogranin Bは核内のβ-catenin蓄積を抑制することによりのウィントシグナルを阻害する.β-cateninの核内蓄積にはStat3のリン酸化の関与が報告されていたが,xylogranin BによるStat3のリン酸化レベルの変化は認められなかった.また,Calotropis giganteaから見出したカルデノライドcalotropinについてはβ-cateninのリン酸化に関わるCK1αを増加させることでβ-cateninの分解を促進すると推定していたが,siRNAを用いたCK1α knock down実験により,calotropinのβ-catenin分解促進にはCK1αが寄与していることが確認できた.またCK1αのmRNA発現が上昇することも明らかとなった.さらに,calotropinはアポトーシスを誘導することが明らかとなり,その作用にもCK1αが関係することを明らかとした.さらなる作用機序の解明を目指して,xylogranin Bとcalotropinについてマイクロアレイにより遺伝子発現への影響を網羅的に測定した.結果については解析中であるが,ウィントシグナルに関連する遺伝子を中心に解析を進める予定である. ②Ricinus communisについてウィントシグナル活性化作用を指標に成分探索を行ったところ,ricininを単離し,本化合物がβ-cateninのリン酸化を抑制することでウィントシグナルを活性化することを見出した.また,本化合物についてはゼブラフィッシュにおいてもβ-cateninを増加させることを見出した.そのほかタイ産およびバングラデシュ産の植物および当研究室にて分離培養を行った放線菌からウィントシグナル阻害作用を示す複数の化合物を見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウィントシグナルを指標としたスクリーニングは順調に進行し,本シグナルに作用する複数の活性成分の単離に成功しており,現在その作用機構の解明に取り組んでいる. また,先行研究で見出している化合物の作用機構についても興味深い知見が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
当研究室では継続して植物および放線菌の収集に努めている.それらの抽出物ライブラリーを対象にさらにウィントシグナルを指標としたスクリーニングを進め,新規化合物や興味深い活性成分の単離を目指す.得られた化合物については,各種スペクトル解析を行うことで精密な化学構造の決定を行う.また,活性の詳細な評価を行うとともに,分子レベルでの作用機序の解明をめざし検討を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね計画していた通り消耗品の購入を主として予算執行を行った.11,877円を次年度に繰り越すこととなったが,これは使い切りをあえて行わなかったためである. 次年度(26年)は当初の予定より11,877円増えるが,ほぼ当初の計画に基づき物品費を中心に使用する予定である.
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