2014 Fiscal Year Research-status Report
脱離基中にアルデヒド基をもつ糖供与体を用いた分子内グリコシル化法の開発
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25870140
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
土肥 博史 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 助教 (10345928)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グリコシル化 / 立体選択性 / 位置選択性 / 糖鎖合成 / 反応性 / オリゴ糖合成 / 脱離基 / アセタール |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に引き続き、1,2-シス型グリコシド結合の立体選択的な構築法の確立を目指し、遊離可能なアルデヒド基を脱離基であるチオフェニル基に持つ糖供与体を用いた効率的な分子内グリコシル化法の開発を試みた。糖供与体と糖受容体をアセタール結合によって複合体へと導き、これを用いて分子内グリコシル化反応を検討した結果、分子間で行う常法に比べて反応性が低くなることがわかった。その原因をチオエーテルのオルト位にアセタール結合があるために糖供与体としての反応性が低下しているためと予想し、チオフェニル基のオルト位にアルデヒド基を持つ糖供与体を糖受容体と複合化せずに分子間グリコシル化を行った。その結果、反応はスムーズに進行し対応する二糖を良好な収率で与えたことから、複合体の低い反応性は反応するアルコールの近傍にアセタール結合を介した糖供与体が存在することによる立体的な要因であることが推測された。そこで、アセタールを位置選択的に還元開裂することで糖供与体と糖受容体の結合様式をより柔軟な構造を持つベンジルエーテルに変換し、これを用いた分子内グリコシル化反応を検討した。様々な形状の複合体のなかでも糖受容体の一級水酸基がフリーでそのβ位の二級水酸基にベンジルエーテルを介して糖供与体を導入したものにおいて分子内グリコシル化が進行することを確認した。また、チオフェニル基のオルト位にアルデヒド基を持つ糖供与体が通常のチオグリコシドは活性化されないTMSOTfなどのルイス酸によって活性化されグリコシル化反応が進行することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度における目標として設定したガラクトース・グルコース複合体の合成と、これを用いたグリコシル化における反応挙動の検討を行い、一部の系において分子内グリコシル化の進行が確認できたため、達成度区分を(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
複合体を用いたグリコシル化における反応挙動の検討を続けていくとともに、チオフェニル基のオルト位にアルデヒド基を持つ糖供与体の反応性についても調べる。またオルト位にアルデヒド基を持つ糖供与体の合成が煩雑であるため、その工程数を大幅に減らした効率的な合成法を模索する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に分子内グリコシル化について検討を行った結果、一部の系において分子内でグリコシル化反応が進行することを確認したが、ほとんどの系においては分子間で起こっている可能性が生じたため、研究の最終年度を1年延長して反応の詳細なメカニズムを解明することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の使用計画に加えて、チオフェニル基のオルト位にアルデヒド基を持つ糖供与体の反応性を調べるために必要なルイス酸系試薬類や、研究成果を学会で発表するための経費に充てる。
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Research Products
(6 results)