2014 Fiscal Year Research-status Report
社会関係の発展が精神疾患の予防につながることを検討する縦断研究
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25870143
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 進介 東京大学, 学生相談ネットワーク本部, 講師 (10633167)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抑うつ症状 / 思春期 / 縦断調査 / 社会関係 / スティグマ |
Outline of Annual Research Achievements |
思春期後期は、社会関係を発展させる一方、精神疾患の有病率も急激に増加する時期で、大学生までに8人に1人が精神疾患を患うか、罹患した経験を持つ。大学生活は、新たに構築する社会関係を利用してライフイベントに対応し、本人の自尊心を高め、自我を確立させる過程として重要な場である。本研究では、大学というコミュニティにおいて社会関係の発展が、精神疾患の予防・軽症化・早期回復につながることを定量的に証明し、社会関係構築の正の側面を見出すことが目的である。本研究によって、レジリエンスやソーシャルキャピタルの重要性を定量的に証明し、大学精神保健・支援機関のモデルケースとなりうることを目的とする。 平成26年度までに、都内20の大学より本研究の目的を伝えずにリクルートした259名について、第一期調査を完了した。また、1か月後調査、1年後調査も順調に実施しており、それぞれ100%、83%の回答率を得ている。1年後調査は平成27年8月に終了し、その時点で結果をまとめ、論文化する方針である。 また、第一期調査にて並行して実施した統合失調症の名称変更と差別・偏見について、大学生の統合失調症についての差別・偏見は、精神分裂病よりは小さいが、うつ病、糖尿病よりは大きいことを見出し、査読付き英文誌に採択された(Koike et al., Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol. in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度において、健常大学生259名の登録が完了し、登録時調査の結果の一部はすでに査読付き英文誌に採択された。また、1年後調査についてもすでに126名の調査を終え、83%という高い追跡率を得ている。さらに、本研究を発展させた脳画像研究も実施しており(新学術領域・公募班研究「後期思春期のメタ認知成熟過程を検討するマルチモダリティ脳画像計測」)、こちらも順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
1年後の追跡調査を完了し、順次解析して論文化していく。また、新学術領域研究とも連携を強化して計測、解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
平成26年度に新学術領域(公募研究)が採択されたので、本研究に使用する費用の一部が節減された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度も新学術領域(公募研究)は継続するため、引き続き本研究の研究費は節減できることが見込まれる。そのため、平成26年度で得られた研究成果である大学生における精神疾患のスティグマについて、社会関係の発展と絡めた検討を深める。具体的には、精神疾患をメディアがどのように取り上げているかについて調査を行う。
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Research Products
(7 results)