2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞からの機能的肝細胞の大量調製法とヒト肝細胞キメラマウスの樹立
Project/Area Number |
25870145
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木戸 丈友 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (00401034)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 肝臓 |
Research Abstract |
創薬研究に利用可能な高機能性肝細胞をヒトiPS細胞から大量に調整するシステムの樹立を目指し、平成25年度は、ヒトiPS細胞から肝前駆細胞を分化誘導し、純化する技術の開発とそれらを維持、増幅する培養系の樹立に取り組んだ。さらに、増幅したヒトiPS細由来肝前駆細胞から肝細胞分化誘導系の確立を試みた。 その結果、ヒトiPS細胞からの肝細胞の分化誘導系において、肝前駆細胞マーカー遺伝子を発現する細胞集団を特定し、特異的な表面抗原の発現を指標としてそれらを純化した。純化した細胞は、フィーダー細胞上で、各種サイトカイン類を添加した条件で培養することで、1週間で約8倍に増殖した。さらに、培養後も、アルファフェトプロテインやHNF4aといった肝前駆細胞に特徴的なマーカー遺伝子の発現を維持した。以上から、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞の純化とそれらを維持、増幅する培養系の樹立に成功した。さらに、増幅したヒトiPS細由来肝前駆細胞は、オンコスタチンMを添加した肝細胞分化誘導系において、ほぼ全ての細胞が肝細胞の成熟マーカー遺伝子のひとつであるアルブミンを発現した。既報のヒトiPS細胞からの肝細胞分化の問題として、全てのiPS細胞を均一に肝細胞に分化させることは困難であることが指摘されている。今回、樹立した分化誘導法は、ほぼ全ての細胞を均一に肝細胞へと分化させることが可能であることから、従来法による肝細胞分化誘導系の大幅な改善が期待できる結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度計画していた、ヒトiPS細胞からの肝前駆細胞の分化誘導とその純化法の確立、増幅培養系の開発、さらに、増幅したヒトiPS細胞由来肝前駆細胞からの肝細胞へ分化誘導する系の確立を達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度について、当初計画していた通りに遂行する予定である。具体的には、平成25年度に樹立したヒトiPS細胞由来肝細胞とマウス肝臓より分離した類洞内皮細胞、クッパー細胞、肝星細胞との三次元培養法の樹立による肝細胞の高機能化を試みる。さらに、作製した肝細胞を免疫不全マウスに移植してヒト肝細胞キメラマウスの樹立を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヒトiPS細胞由来の肝前駆細胞から機能的肝細胞を誘導するため、三次元共培養法の樹立を行う。さらに、この肝細胞をマウスに移植しin vivoでの機能を評価する。 三次元共培養系に利用可能な各種肝構成細胞の分離と維持培養系の確立を試みる。誘導したヒトiPS細胞由来肝細胞と各種肝構成細胞を三次元的に共培養することで、肝細胞の高機能化が達成できるか検討する。ヒトiPS細胞から分化誘導した肝細胞を免疫不全マウスの肝臓に移植し、マウス肝細胞がヒト肝細胞で置換されたキメラマウスモデルを樹立する。
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Research Products
(4 results)