2014 Fiscal Year Annual Research Report
シャコガイ殻の微小領域分析による超高時間解像度古環境復元法の確立
Project/Area Number |
25870147
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白井 厚太朗 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (70463908)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シャコガイ / 微小領域分析 / 古環境復元 / 台風 / 化石 / 微量元素 / 安定同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化により台風や大雨などの極端現象がどのように推移するかを予測するためには,過去の極端現象に関する知見が必要不可欠である.本研究の目的は,長期間連続した高解像度の古環境記録を保持しているシャコガイ殻を高空間分解能で分析することにより,数時間から数日スケールで過去の環境変動を復元する手法を確立する事である. 平成26年度は沖ノ鳥島から採取したシャコガイ殻の微量元素分析と成長線解析,石垣島から採取したシャコガイの年代測定および成長線解析を行った.2006年に沖ノ鳥島から採取したシャコガイ(シラナミ)殻の微量元素組成を分析した結果,2006年9月の台風14号の通過を代表的な例として,強風環境下においてBa/Ca比が上昇する傾向が見られた.ただし,成長線解析の結果,複数の成長阻害輪が見られた事から,日輪数の計測による正確な日付の特定は困難であった. 石垣島から採取したシャコガイ化石3個体について年代測定した結果,その全てが約5000BP程度の完新世気候最温暖期の年代のものであった.4個体のオオジャコ化石試料の合計約200年分の年間成長速度の経年変動を解析した結果,10齢程度までは成長縞に対し成長線が細く経年変動を精度良く計測できるのに対し,10齢以降は成長縞に対し成長線が相対的に太くなるため経年変動の計測における誤差が大きくなる事が明らかとなった.また,成長線幅は経年変動を示すものの,明瞭な周期性は見られなかった.平成25年度および26年度に行った高解像度の酸素同位体比分析の結果から,完新世気候最温暖期では現在と比べて夏期の高水温の期間が長かった可能性が示唆された. 本研究の成果により,化学・同位体比分析による環境復元と成長線解析による期間の特定を組み合わせる事で,従来の手法では得られない新たな高解像度古環境情報を復元できる可能性が示された.
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Research Products
(5 results)