2013 Fiscal Year Research-status Report
膵炎のバイオマーカーとしての膵管形態異常の役割の網羅的解明
Project/Area Number |
25870148
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五ノ井 渉 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60631174)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | pancreatic duct / pancreas divisum / 膵管 / 膵 / 膵管形態異常 / 膵炎 / pancreatitis / anomaly |
Research Abstract |
近年、特発性(原因不明)膵炎患者において、pancras divisumやmeandering main pancreatic duct (MMPD)といった膵管形態異常が著しく高頻度で存在することが、申請者により発見され、膵管形態異常の実態解明が、今後の膵炎の病態解明や治療法開発に寄与すると期待されている。本研究計画では、申請者のこれまでの研究を拡張し、健診受診者と当大学病院受診膵炎患者を対象とした世界に類を見ない数千人規模の疾患・膵画像データベースを作成し、それを利用した膵管形態異常の病態解明を行うことを目的としている。 本年度の主な研究活動は、「現在の達成度」において後述する通り、大規模なデータ採取を行いデータベースを拡張し、整理ことである。この点においては、実際に3000例以上のデータ採取が完了しており、データの整理を行っている段階に到達しており、順調な滑り出しと言える。 この過程で、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)後膵炎により生じた偽膵管癒合不全の症例を発見したため、学会発表を行った(1)。このような症例は過去に1例も報告がなく、世界初である。また、膵管形態異常の日々の研究を日本医学放射線学会に評価していただき、同学会の若手研究部門では最も栄誉ある板井研究奨励賞を首位で受賞し(2)、また同学会支部から招待されて教育講演を行った(3)。 (1; 学会発表) Meandering main pancreatic duct から生じた false pancreas divisum の1例 五ノ井 渉, 赤羽 正章, 多田 稔, 大友 邦 第49回日本医学放射線学会秋季臨床大会 2013年10月12日 (2; 受賞) 日本医学放射線学会 板井研究奨励賞 (1位) 五ノ井 渉 第442回日本医学放射線学会総会 2013年4月11日 (3; 教育講演) 膵管の画像診断 [招待有り] 五ノ井 渉 第443回日本医学放射線学会 関東地方会 2013年6月1日
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究計画」に記した計画のうち、平成25年度に行う予定であったものは以下に示す「1. 健診群・膵炎患者群の膵管形態・臨床情報データベースの構築(平成25年度・平成26年度以降)」の①~③である。いずれも26年度も含めて進行する予定の内容であり、当初よりも順調な進捗度合いである。 「①健診群の被験者データ採取・整理」: 予定通り、1日におよそ8-10人のペースで当院の特殊人間ドックを受診する被験者全員に対し、年齢・性別、問診、診察、身体検査(身長・体重等)、血液検査、上腹部MRI撮像を記録ないし施行が行えている。 「②膵炎患者群のデータ採取・整理」: 2003年から現在までの当院受診患者の内、膵胆道系疾患が疑われ、MRCPを含むMRI検査を施行された患者を全員抽出するであったが、ごく最近の症例を除き、概ね抽出が順調に進行しており、その多くで症例個別のデータ調査・分類が完了している。 「③MRI画像診断」: 2つの群の全ての上腹部MRI画像に対し、膵管形態診断のトレーニングを修了した2名の腹部放射線診断専門医が独立に読影することとなっているが、予定する量の3割程度で読影が完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究計画」に記した「1.健診群・膵炎患者群の膵管形態・臨床情報データベースの構築(平成25年度・平成26年度以降)」を継続するとともに、一部のそろったデータを用いて、「2. 膵管形態異常と膵炎との関連をデータベースを用いて統計学的に検証する(平成26年度以降)」の①~⑥(下記転載)についても、検討を進める。またデータ整理の過程で新たな発見があれば、それを検証する課題も追加する。 ①Pancreas divisumとアルコール性膵炎の関係を調査し、Pancreas divisumのアルコール性膵炎発症への寄与の実態を詳らかにする; ②MMPDとアルコール性膵炎の関係を調査し、MMPDのアルコール性膵炎発症への寄与の実態を詳らかにする。; ③SWPDの臨床的特徴をまとめる。特に膵炎との関係を詳らかにする。; ④SWOPPの存在を確認し、臨床的特徴をまとめる。特に膵炎との関係を詳らかにする。; ⑤Ansa pancreaticaの臨床的特徴、特に膵炎との関係を詳らかにする。; ⑥Bifid pancreas の臨床的特徴、特に膵炎との関係を詳らかにする
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
必要ではあったが、データ規模が増えてからと考えて、未購入の機材があります(解析用のPCとモニター)。打ち合わせや学会での出張が予定よりも大幅に増える一方、また論文の英文校正の頻度が予定よりも大幅に少ないなど、予算配分が予定と異なってしまいました。 未購入のままとなっている機材の購入や、今後の学会発表や論文発行にかかる費用などに当てる。
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