2013 Fiscal Year Research-status Report
オントロジーを利用した診療情報検索システムの開発に関する研究
Project/Area Number |
25870156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河添 悦昌 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10621477)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 診療データの検索 / 臨床試験 / オントロジー / セマンティックウェブ / RDF / SPARQL |
Research Abstract |
本研究はオントロジーを活用した診療データ検索システムを開発するために、1)生命科学分野のオントロジーと診療データとを連合して利用可能なRDFデータベースの構築、2)生活習慣病関連の臨床試験を想定した検索表現の評価、3)検索システムの検索結果の精度評価、を行うことを目的とする。本年度は次の研究を実施した。1-1)オントロジーの準備:商用・非商用を含む医薬品、疾患、臨床検査に関するリソースの調査を行い、これらを含むRDFデータベースを構築した。生活習慣病に特有の概念に関しては、診療ガイドラインおよび公開される臨床試験の適格基準に含まれる概念と臨床医学オントロジーとの対応状況を調査した。1-2)診療データの準備:当初は所属教室が有する二次利用専用のデータベースを用いる予定であったが、手法の適用可能性を広げるために、本邦の標準規格であるSMIX2ストレージを対象とした。そのため、診療情報のモデルを新規に開発することは行なわず、HL7データをRDFデータへと変換する効率的な手法を開発し、当院の過去4年分の全入院および外来患者に関する検体検査オーダ、検体検査結果、処方オーダ、注射オーダ、病名登録オーダ、患者基本情報を含むRDFデータベースを構築した。2)臨床試験を想定した検索表現:構築したデータベースで現状可能な、薬剤の有害事象の検出を想定した予備実験を行った。オントロジーによるクエリ拡張と診療イベントの時間関係パターンを考慮したSPARQLクエリの実行実験を行い、検索の表現力、結果の正当性、ならびに検索の実行速度に関する考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行する上で基盤となるオントロジーと診療データとを連合して利用可能なRDFデータベースの構築は順調に進んでいる。生活習慣病関連の臨床試験を想定した診療データの抽出のためには、基本的な概念として、医薬品、疾患、臨床検査などが利用できる必要が有ること、また後述する課題に予想より時間を要することから、これら基本オントロジーを含むRDFデータベースの構築と臨床試験を想定したクエリの実行実験を優先して行った。国内外において利用可能なオントロジーの種類が増えたため、現状含まれるオントロジーの範囲においても、例えば、薬品の作用機序といったより詳細な情報をクエリ拡張として利用した診療データの検索が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床試験の適格基準を表現するために必要なオントロジーに関しては、臨床医学オントロジーが記述する詳細粒度までは不要である可能性があるため、他のオントロジーの利用、もしくは必要な範囲で新たに開発することを含め次年度の課題とした。また、臨床試験の適格基準においてしばしば見られる、嗜好歴、家族歴、妊娠の有無、副作用に関する情報などの患者プロファイルに関しては、診療データのソースであるSSMIX2標準化ストレージに含まれる項目のみでは不足するため、これまでに構築したデータベースでこれら情報を扱えるようにする。これら課題を着実に推進することが、2年目である平成26年度の目標である。
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