2013 Fiscal Year Research-status Report
大規模並列計算時代における原子核殻模型計算法の探求と開発
Project/Area Number |
25870168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 則孝 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30419254)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原子核殻模型計算 / 中重核構造 / 大規模並列計算 |
Research Abstract |
原子核殻模型計算は、原子核構造を微視的に研究する上で有力な手法である。この手法では、巨大な疎行列となるハミルトニアン行列の固有値問題をランチョス法によって解くことによって原子核の構造を求めることができる。しかしながら、取り扱うべきハミルトニアン行列の次元(Mスキーム配位の数に相当)が莫大になることが常に困難としてつきまとう。本研究では、莫大な数のMスキーム配位を一粒子軌道占有数で分類し、これを並列に扱うことによって、大規模並列計算ソフトウェアを開発する。この開発を通して、高速かつ並列化されたMスキーム配位演算コードとその開発経験が得られる。それらに基づき、モンテカルロ法などを組み合わせて大規模並列計算時代における新たな殻模型計算手法の開発を目指す。 近年のスーパーコンピュータは大規模並列化され、ソフトウェアに要求される並列数は大きくなる一方である。当該年度は、大規模並列計算機に対応したランチョス法によるMスキーム原子核殻模型計算プログラムの作成と、そのプログラムの並列効率の向上を図った。 プログラム開発における進展は、ハミルトニアン行列の行方向のみを分割して並列計算をおこなっていたが、これを列方向にも分割して、並列計算するようアルゴリズムの修正をおこなった。この修正により、並列効率が大きく向上し、7000コア程度までの良好な並列効率を達成した。 また、殻模型計算によるカルシウム同位体のE1励起研究へ、開発されたコードを適用した。この研究は100億Mスキーム次元の固有値問題を取り扱うことを要求し、 開発した並列計算コードを用いることが必要不可欠であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた、原子核殻模型計算のためのMスキームランチョス法による大規模並列計算コードの開発はほぼ終え、およそ7000コアまでの良好な並列効率を達成するとともに、物理学会での報告をおこなった。 モンテカルロ法などの殻模型計算への応用は翌年度以降の予定であり、これも計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したランチョス法による原子核殻模型計算コードを広く使ってもらうため、コードの整備などの公開準備をすすめている。広く使ってもらうソフトウェアを目指すには、簡便なユーザーインターフェースやマニュアルの充実が鍵となると思われるため、それらの開発にも注力したい。 それらの終了後に、モンテカルロ法などのさらなる計算手法の開発を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算機サーバの購入を年度末近くにおこなったのだが、予期していた購入金額をしたまわったため、余剰の金額がでた。 計算機サーバーの周辺機器の整備に、有効に使用する予定である。 特にディスク容量が小さいため、増強の必要がある。
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Research Products
(3 results)