2014 Fiscal Year Research-status Report
大規模並列計算時代における原子核殻模型計算法の探求と開発
Project/Area Number |
25870168
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 則孝 東京大学, 大学院理学系研究科, 特任准教授 (30419254)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 原子核殻模型 / 原子核構造計算 / 大規模並列計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模並列計算用の原子核殻模型計算コード"KSHELL"の開発を進め、ユーザーインターフェースを大きく改良した。バッチスクリプトの生成に対話型インターフェースを設けることや、遷移確率などを直接計算することにより、初学者にも使いやすいソフトウェアを実現した。 本ソフトウェアをインターネット上で公開し、ソフトウェア紹介のプレゼンテーションをおこなった。実験研究者を含む複数からの問い合わせを受けており、研究コミュニティにおいて知名度を得つつある。 具体的には、本ソフトウェアの使用を明記した原著論文が理論研究者により2本が出版済み、実験研究者による2本投稿準備中であり、実際の研究現場に使われて着実に成果につながっている。特に前者においては、中性子過剰領域におけるクロム・鉄の高スピン状態の原子核殻模型計算による解明がおこなわれた。この状態は変形の様態について議論があったがプロレート変形であることを示した。また、硫黄44原子核におけるイラスト4+励起状態は他の核種に比して特異的に遷移確率が小さいことが実験的に知られていたが、その原因について原子核殻模型計算に基づいた解析により高Kアイソマー状態であることを明確に示した。 平行して、1粒子分光学的因子の計算や、ベータ崩壊の研究に必要なフェルミ遷移・ガモフテラー遷移・第一禁止遷移の遷移行列要素を計算するためのコード実装をおこなった。これらの物理量は、元素合成過程の解明につながる重要なものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原子核殻模型計算プログラム"KSHELL"の公開までこぎつけ、反響もあるなど順調にすすんでいると考える。 ユーザーの声から判断するに、実験研究者でも自分で使えており、当初の計画を達成している。固有値問題の解法に櫻井-杉浦法の適用など、さらなる拡張を開始している。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在の殻模型計算コードは、Mスキーム基底によりハミルトニアン行列を作り、固有値問題はランチョス法を用いている。この手法では、高励起状態を求めるときには、再直交化の計算量の増加や、全角運動量固有状態への射影演算が大きくなり、応用範囲に制限を与えている。この問題を解決する可能性として、固有値問題の解法に櫻井ー杉浦法を試みる予定である。
|
Causes of Carryover |
当該年度は、計算機使用料にあてることを計画していたが、無償の計算機共同利用公募によってある程度の計算機資源を得たため、次年度の海外出張旅費にまわすことにした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会出席のため、海外出張に充てる予定である。
|
Research Products
(5 results)
-
-
-
-
[Presentation] Shell-model description of E1 excitation2014
Author(s)
N. Shimizu, Y. Utsuno, T. Togashi, T. Otsuka and M. Honma
Organizer
American Physical Society, 4th Joint Meeting of the APS Division of Nuclear Physics and the Physical Society of Japan
Place of Presentation
Hotel Waikolowa, Hawaii, USA
Year and Date
2014-10-11
-