2014 Fiscal Year Annual Research Report
多地域最適電源構成モデルによる再生可能エネルギー発電大量導入の分析
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25870176
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小宮山 涼一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60537819)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 電源構成 / デマンドレスポンス |
Outline of Annual Research Achievements |
再生可能エネルギー等の新技術普及を適切に評価するためには,それらの普及パスが電源構成に与える影響を長期的かつ動学的に考慮することが,適切な電力供給計画を策定する上で極めて重要である.そこで申請者らが既に開発した1年間を分析対象とした最適電源構成モデルを,当初の目的通り,日本各地域の多年度の電源構成および需給を同時最適化する動学的モデルに拡張することができた.これまで,10分値での高時間解像度での需給を分析できる動学的な最適電源構成モデルは,申請者の知る限り構築されておらず,本課題は高時間解像度動学的最適電源構成モデルを構築し,技術評価を実施した点に,既往研究には見られない大きな特徴がある. 数値シミュレーション分析結果として,CO2制約が無く,原発を徐々に廃炉するケースでは,原発代替電源として,石炭火力が建設上限まで増加した上で,天然ガス複合発電が一層拡大する結果となった.2050年に天然ガス複合火力が総発電量の半分以上を占め,天然ガスへの依存度が急増する.また,原発逐次廃炉の下でCO2制約を課すと,原発代替電源として,風力発電が上限まで増加した上で,天然ガス複合発電の導入が進み,2050年に近づくにつれ,太陽光発電が拡大する結果となった.2050年において太陽光発電は約2億kW,風力発電は約6000万kW導入され,これらの間欠性電源の設備量はほぼ日本の系統規模まで拡大する.これらの数値シミュレーション結果は,日本のエネルギー安全保障政策を総合的に考える上での重要な参考材料になることが期待される.
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