2014 Fiscal Year Research-status Report
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25870177
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榎本 豊 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (20608210)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | NK細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、肝疾患の患者が増加しており、その多くの疾患に関わる免疫反応の機序を解明することが求められている。しかし肝臓における免疫反応は未解明の部分が多い。申請者は、重要な免疫反応の一つである Th2 免疫応答の作用機序の解明を目指し、代表的なTh2サイトカインであるIL-4の肝臓特異的な過剰発現を行った。これまでの研究によりIL-4を肝臓特異的に過剰発現すると、定常状態のNK細胞とは性質の異なるNKが肝臓内で顕著に増加する現象を明らかにしている。このNKは定常状態のNKよりも高い細胞傷害活性を有しており、 報告されていたNKに対するIL-4の作用とは大きく異なっていた。本研究では、このNKの性状と機能の解析を中心に、肝臓におけるTh2免疫応答の作用機序の解明を目的とした。 このような特徴を持つNK細胞へと分化する条件を検討するため、in vitroによる培養を行った。その結果、IL-4に加えてIL-15を添加した培養すると、肝臓で見られたIL-4応答性NK細胞様の細胞へと変化することを見いだした。In vitroにおいて、IL-4のみではこの細胞が誘導されないことから、他の細胞の関与が考えられた。そこで、IL-4過剰発現マウスの肝臓を解析した結果、肝臓に常在するマクロファージであるクッパー細胞が顕著に増加していることが明らかになった。さらにIL-4過剰発現マウス由来のクッパー細胞との共培養は、野生型マウス由来のクッパー細胞との共培養よりもNK細胞の生存数が大きいことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を実施するにあたり、実験系の多くが構築されていたことから、非常に首尾よく実験を進行することが可能であった。また、結果自体も明確な結果が多かったことから、おおむね実験は順調に推移した。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-4応答性NKが誘導されるメカニズムの詳細を明らかにする。また、遺伝子発現解析を行い、IL-4応答性NKと定常状態のNKとの性質の違いを明確にする。さらに、IL-4が発現されるとされる寄生虫感染などのTh2免疫反応時のNKの役割を解明する。応用として、IL-4応答性NKのがん免疫療法への有効性を検討する。
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Causes of Carryover |
25年度に遺伝子発現解析を行い、その結果を基に着目した遺伝子についての詳細な解析を26年度に行う予定でいたが、当初の予定よりも条件検討を綿密にする必要が生じたため、遺伝子発現解析を26年度に行った。そこで計画を変更したため、着目した遺伝子についての詳細な解析分、並びに論文投稿料の未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子発現解析により得られた遺伝子の詳細な解析、並びに論文投稿料の経費に未使用額を充てる。
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Research Products
(2 results)