2015 Fiscal Year Annual Research Report
苦痛を訴えられない慢性創傷を有する高齢患者の客観的創部痛アセスメント指標の開発
Project/Area Number |
25870179
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玉井 奈緒 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80636788)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 看護学 / 創傷 / 疼痛 / 滲出液 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は患者の苦痛を増強し、ウェルビーイングに影響を及ぼす創部痛に着目し、特に寝たきり高齢者や認知症患者等、自ら痛みを訴えられない患者の創部痛を客観的にアセスメントできる指標を探索、確立することを最終目標としている。目標達成のために①静脈性潰瘍および乳癌癌性創傷の痛みの実態の把握、②痛みが特に強いとされる静脈性潰瘍を有する患者の創部痛を非侵襲的・非拘束にモニタリング可能な痛みの発生原因を反映する生体指標の探索とその測定方法の検討、③創部痛によって生じる生体反応を反映する浸出液内マーカーの検討を目的に研究を実施した。いずれも所属施設の倫理委員会の承認を得た。 ①では、静脈性潰瘍もしくは乳癌癌性創傷と診断され疼痛を訴えることのできる成人患者37名(静脈性潰瘍15名・乳癌癌性創傷22名)を対象とし、短縮版McGill疼痛質問紙を用いて創部痛の実態を横断的に調査した。いずれも痛みを訴える患者は80%以上を占めており、静脈性潰瘍・乳癌癌性創傷ともに”触ると痛い””ずきんずきんとした””疼くような”痛みを訴える患者が多かった。 ②では、滲出液に着目し、静脈性潰瘍を保有する13名の患者の創部から30サンプルの滲出液を採取した。短縮版McGill疼痛質問紙による疼痛評価と滲出液中の痛みマーカーであるNGFとS100A8/A9の関連を分析した。その結果、標準化NGF値は持続的な痛みや間欠的な痛み、神経障害性痛と負の相関を示した。一方標準化S100A8/A9値は現在の痛みの強さ、持続的な痛みの強さと正の相関を示した。これにより滲出液から創部痛マーカーを検出できることが示唆された。 ③では、ラットの背部に全層欠損創を作成し、痛み刺激を与えることで創部痛によるストレス反応を反映する、滲出液中の創部痛マーカーを検出するための実験系の確立を行った。
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Research Products
(2 results)