2014 Fiscal Year Annual Research Report
身体活動時系列に基づく双極性障害の病相転移時期の予測技術の開発
Project/Area Number |
25870183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 亨 東京大学, 教育学研究科(研究院), 特任准教授 (80419473)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 双極性障害 / 身体活動 / 病相転移予測 / 心身の健康 / 精神疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
双極性障害患者および健常人の日常生活下の自発的身体活動をアクチグラフを用いて超長期(患者:>6ヶ月、健常人:>3ヶ月)にわたり連続的に計測した。病相転移時期を含む身体活動および気分データを得た。病相変化に伴う身体活動の変化および病相転移タイミングの予測可能性を検討するため、先行研究で提案した身体活動時系列の間欠性指標γを評価した。うつ病相では寡動性の精神行動異常が確認され(γの低下)、軽躁病相では、そのような行動変化の改善がみられた(γの増加・正常化)。さらに、行動指標γを連続的に評価し、気分スコアとの共変性を評価したところ、有意な相関関係を確認した。また、気分変動データの局所分散および自己相関特性を解析したところ、病相転移前にその前兆とも考えられる気分変動の振幅および相関係数の増大を確認し、病相転移の際に気分状態・情動の不安定化(背後のシステムの分岐現象)が存在することを示唆した(投稿準備中)。 一方、時間解像度の高い評価手法の確立を目的に、Ecological Momentary Assessmentで計測した健常人および大うつ病性障害患者の日内の自覚症状変動と身体活動の間欠性を反映する局所統計量との共変性をマルチレベルモデルにより解析した。両群において、身体活動の間欠性の増大が日内の抑うつ気分の上昇と有意な共変関係にあることを確認した。さらに、うつ病患者において個人適合化モデルを構築したところ、モデル構築に使用していない評価データにおいて、身体活動の統計指標のみから有意に抑うつ気分が推定可能であることを確認した(投稿中)。 これらは、客観的かつ連続計測可能な身体活動から日常生活下の抑うつ気分を連続的に評価することが可能であることを意味し、双極性障害をはじめとする精神疾患の客観的かつ定量的な病態モニタリング、さらには病態変化や発症予測に寄与すると考えられる。
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Research Products
(4 results)