2013 Fiscal Year Research-status Report
フェニルボロン酸を安定化要素とするリボ核酸送達用高分子ミセルの研究開発
Project/Area Number |
25870184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 武彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80415075)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DDS / 環境応答性高分子ミセル / 核酸デリバリー / フェニルボロン酸 / 細胞内ATP |
Research Abstract |
本研究課題においては、水溶性が担保されたフェニルボロン酸(PBA)修飾ポリマーにより、水中でリボ核酸と混合するのみで調製可能な高分子ミセル型のキャリアによる難治疾患治療を目的にしている。平成24年度はリボ核酸を高分子ミセルに内包可能なブロック共重合体の組成検討を行い、細胞内濃度のATPに応答して内包したリボ核酸の放出機能を検証し、さらに培養細胞を用いて機能評価を行った。用いたブロック共重合体は生体適合性に優れるポリエチレングリコールとポリアスパラギン酸をベースとし、エンドソーム脱出機能を有するポリカチオンに一部PBAを導入した。ボロン原子近傍に配位可能なアミン原子が多数存在するため、導入率を高めても中性バッファー中での水溶性が担保されることを確認した。 上述の機能化ブロック共重合体を用いてsiRNAと混合すると、静電相互作用とRNA3'末端リボース結合の相乗効果より、PBA未修飾のブロック共重合体から調製される高分子ミセルに比して、希釈およびポリアニオンによる交換反応に対する耐性が高まっていることが確認された。加えて細胞外濃度のATPを添加しても安定でありながら、細胞内ATP濃度環境では、速やかにミセルが崩壊し内包したsiRNAが放出されることを確認した。培養細胞に対するトランスフェクションでは、有効濃度が依然高いものの一定の遺伝子発現抑制効果が確認された。 また、リボース構造を持たない環状DNAや、リボース末端存在比の小さい長鎖RNAに対しても、第三成分を加えた三元系コンプレックス形成により上記と同様の高分子ミセルが形成可能であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的としていた水溶性の担保されたフェニルボロン酸導入カチオン性ブロック共重合体の合成に成功し、高分子ミセル化および細胞内ATP濃度に応答した放出機能を確認できた。細胞外での安定性および培養細胞でのトランスフェクション実験における核酸の有効濃度をより低下させるため、さらに詳細なポリマー組成の検討が必要である。 また、リボース構造を持たない環状DNAや、リボース末端存在比の小さい長鎖RNAに対しても、ATP濃度に応答可能な高分子ミセルを調製する手法を見出したことにより、siRNAによる遺伝子発現抑制のみならず、核酸のトランスフェクションによる遺伝子発現による治療効果も期待できるようになった。 鋭意検証中である。
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Strategy for Future Research Activity |
siRNAについては機能性ポリマーの組成を最適化し、培養細胞レベルでの機能検証を進めると共に、in vivoにおける血中滞留性評価や体内動態の解析を進め、疾患モデル動物を用いた治療効果の検証を進める。 第三成分を用いる長鎖DNA, RNA内包型高分子ミセルについては、同様にポリマー組成の最適化を進めると共に、物理化学的な物性の解析を進めて研究の足場を固めつつ、in vitro, in vivoの両面で性能を評価していく
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