2014 Fiscal Year Annual Research Report
フェニルボロン酸を安定化要素とするリボ核酸送達用高分子ミセルの研究開発
Project/Area Number |
25870184
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 武彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80415075)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | DDS / 環境応答性高分子ミセル / 核酸デリバリー / フェニルボロン酸 / 細胞内ATP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題においては、水溶性が担保されたフェニルボロン酸(PBA)修飾ポリマーにより、水中でリボ核酸と混合するのみで調製可能な高分子ミセル型キャリアによる難治疾患治療を目的にしている。平成24年度はリボ核酸を高分子ミセルに内包可能なブロック共重合体の組成検討を行い、細胞内濃度のATPに応答して内包したリボ核酸の放出機能を検証し、さらに培養細胞を用いて機能評価を行った。用いたブロック共重合体は生体適合性に優れるポリエチレングリコールとポリアスパラギン酸をベースとし、エンドソーム脱出機能を有するポリカチオンに一部PBAを導入した。ボロン原子近傍に配位可能なアミン原子が多数存在するため、導入率を高めても中世バッファー中での水溶性が担保されることを確認した。 上述の機能かブロック共重合体を用いてsiRNAと混合すると、静電相互作用とRNA3'末端リボース結合の相乗効果により、PBA未修飾のブロック共重合体から調製される高分子ミセルに比して、希釈およびポリアニオンによる交換反応に対する体制が高まっていることが確認された。加えて細胞外濃度のATPを添加しても安定でありながら、細胞内ATP濃度環境では、速やかにミセルが崩壊し内包したsiRNAが放出されることを確認した。培養細胞に対するトランスフェクションデは、有効濃度が依然高いものの一定の遺伝子発現抑制効果が確認された。 またリボース構造を持たない環状DNAや、リボース末端存在比の低い長鎖RNAに対しても、第三成分を加えた三元系コンプレックス形成により上記と同様の高分子ミセルが形成可能であることを見出した。
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