2014 Fiscal Year Annual Research Report
思春期の高機能広汎性発達障害児をもつ親の精神的健康と養育態度に関する研究
Project/Area Number |
25870199
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
石田 徹 共立女子大学, 看護学部, 助教 (10633076)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高機能広汎性発達障害 / 家族支援 / 精神的健康 / 思春期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、思春期の高機能広汎性発達障害(以下、HFPDD)児をもつ親の精神的健康と養育態度の特徴を明らかにし、今後の看護支援を検討することを目的とした。 最終年度では、昨年度から引き続きデータ収集を実施しデータ分析を行った。全体として次のような結果が得られた。思春期(中学生)のHFPDD児をもつ親とその子ども(HFPDD児)に質問紙調査を実施し、46名(母親24名、父親22名)の親、22名の子どもから回答が得られた。全体として、32.6%の親(母親:41.7%、父親:22.7%)にうつ病のリスクがあることが明らかとなった。その母親は、父親に比べてうつ病のリスクが高いと示唆された(p=0.006)。養育態度に関しては、FDT尺度を用い、養育安定群(A型、B型)と不安定群(C型、D型)に分けた。安定群の親は59.5%、不安定群の親は40.5%であった。養育パターン2群間でうつ病リスクを比較した結果、不安定群の親の方に、高いリスクがあった(p=0.001)。家族機能に関しては、安定群の親の方が、家族機能がよかった(p=0.001)。また、母親、父親の精神的健康に影響する要因を統計的に調べた結果、母親では、1.社会との関係、2.子どもの登校状況、3.子どもの多動・不注意、4.子どもの社会性、5.子どもの行為、6.家族との関係の6点が精神的健康に影響する要因となっていた(調整済R2乗0.865)。一方、父親においては、1.社会との関係、2.子どもの情緒の2点が精神的健康に影響を与えていたことがわかった(調整済R2乗0.865)。 以上の結果から、思春期のHFPDD児をもつ親の3割にうつ病のリスクがあることがわかった。特に、母親の方がうつ病リスクが高くその要因も多いことが明らかとなった。今後、親支援には、子どもの要因、家族・社会との関係を含め、包括的に考える必要があると示された。
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