2014 Fiscal Year Research-status Report
根面う蝕の抑制と石灰化誘導に関するマイクロCT解析
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25870203
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
半場 秀典 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (90634006)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 根面う蝕 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯肉退縮による根面の露出は、知覚過敏や根面う蝕のリスクを増大させる。象牙質はエナメル質と比べてより脱灰しやすく根面う蝕への対策は急務である。本研究の目的は、知覚過敏抑制材塗布による牛歯象牙質の脱灰抑制効果について検討することである。牛歯根から象牙質ブロックを作製し、試料表面に対して脱イオン水(DW)、2種の知覚過敏抑制材;リン酸カルシウム系知覚過敏抑制材(Teethmate Desensitizer、TMD)及びフルオロアルミノシリケート系知覚過敏抑制材(Nanoseal、NS)、Fバーニッシュ(Duraphat、 DP、 positive control)を塗布して試料とした。その後、試料を人工唾液に1日間または1週間浸漬した後、人工脱灰液(pH 5.0、3時間)にて脱灰した。その後、マイクロCTを用いてミネラル密度プロファイル及びミネラル喪失量を測定した。 その結果、以下のことが得られた。 1) 健全及び脱灰根面象牙質をマイクロCT装置で撮影した結果、すべての群で表層のミネラル密度は健全部と比べ低い値を示し、コントロールであるDW群は最も低い値であった。本実験の脱灰条件でマイクロCTによる根面象牙質の定量評価が可能であることが示された。 2) DP群は最大の脱灰抑制を示し、TMD群およびNS群はDW群に比べて有意に高い脱灰抑制効果を示し、NS群は人工唾液浸漬期間の1日から1週間への延長により、脱灰抑制効果の増強が認められた。 3)SEM観察において、TMD群およびNS群の脱灰後の象牙質表面に微細な沈着物の堆積を認め、さらに象牙細管内への沈着が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロCT解析による根面う蝕の抑制と石灰化誘導の解析を進めており、リン酸イオン、カルシウムイオンもしくはフッ化物イオンが協調して根面に微細な沈着物を形成し、さらに人工唾液への浸漬によって、根面の石灰化誘導が1週間という期間で得られる可能性が示唆された。 また、根面う蝕を解析するマイクロCTのソフトウェアの改良やエックス線条件の適正化を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
根面う蝕のミネラル変化の解析に加え、EDSによる元素分析や硬さ試験による機械的評価を行う。リン酸カルシウムやフッ化物系の材料だけでなく、歯面コート材の評価も行っていく予定である。 マイクロCTによる3次元解析は、象牙質のミネラル変化を捉えることができ、石灰化誘導の多面的なメカニズムを解析する上で有用である。
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Causes of Carryover |
購入予定していた解析ソフトを次年度に購入予定としたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度となる平成27年度は、データ解析が終了したら直ちに関連学会、シンポジウム等で発表し当該分野における研究者との討議に供するための旅費等に使用する予定である。
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Research Products
(9 results)