2013 Fiscal Year Research-status Report
学習者同士の対話状況に注目した協調学習支援システムの開発
Project/Area Number |
25870207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
平井 佑樹 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80640945)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 学習支援システム / 協調学習 / 対話 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は「学習者の対話をトリガとする協調学習支援システムを開発すること」とした。そのための研究として、本年度は大きく3点の研究を行った。 1点目は、コンピュータによる学習支援の効果を調査したことである(高山ら、2013;Ishikawaら、2013;Aokiら、2014)。本研究では、システムが与えた問題に対する学習者の解答状況からその学習者の理解度を推定し、個々の学習者の学習状況に応じて段階的に学習支援できるシステムを開発した。また、教科書・参考書等の紙媒体を用いる従来の学習と、コンピュータを用いる学習を比較し、後者の方がより良い学習効果が得られることを明らかにした。 2点目は、実際の教育現場におけるコンピュータ利用の影響を調査したことである(木下ら、2013;木下ら、2014;Ondaら、2014)。次年度の研究目標は、開発したシステムを実際の学習場面に適用し、システムが学習を支援できているかどうかに関して評価することである。そのため、実際の教育現場において、コンピュータを利用した教育が学習者に与える影響について調査した。その結果、教室における従来の教育と比較し、コンピュータを利用する教育が、教育者や学習者それぞれに対して、より良い教育・学習効果が得られることを明らかにした。 3つ目は、上記2点の知見を活かし、学習者の対話をトリガとする協調学習支援システムを開発したことである(隠田ら、2013;平井ら、2014)。本研究では、2者または3者間が対面して協調的に学習する場面を想定し、学習者同士の対話状況をトリガとして学習を支援するシステムを開発した。具体的には、音声認識システムJuliusやArduinoを用いて、個々の学習者が長時間連続して発話している状況を抑制することや、個々の学習者の発話スピードが速すぎる状況を抑制すること等ができるシステムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究実施計画に記載したとおりの研究を行うことができた。すなわち、コンピュータを利用して作業している2者や3者それぞれにマイクを取りつけ、そのマイクを通してコンピュータが音声を認識できるようにする。その上で、システムで学習者の発話の長さや連続して発話しているかどうかを測定し、一方的に発話している場合は、それらを学習者に知らせることができるシステムを開発した。また、Arduinoを用いることにより、視覚的に分かりやすく知らせることもできた。 また、国内・国外問わず、本課題に関する研究発表を行い、本研究で開発したシステムの改良指針や、次年度に行うシステム評価方針について、様々な意見を得ることができた。 以上により、本課題に対する研究は、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、おおよそ研究実施計画に記載したとおりの研究を行うことを想定している。すなわち、本研究で開発したシステムを実際の協調学習場面に適用し、協調学習を支援できているかどうかに関して評価を行う。その評価では、「対話に注目した協調学習を支援していない」学習場面(以下、支援なし条件と呼ぶ)と、本研究で実現する「対話に注目した協調学習を支援する」学習場面(以下、支援あり条件と呼ぶ)の比較を行う。 実験参加者を2群に分け、そのうち1群では、まず支援あり条件で協調学習を行い、その後支援なし条件で協調学習を行う。もう1群では、まず支援なし条件で協調学習を行い、その後に支援あり条件で協調学習を行うようにカウンターバランスを取る。2者や3者で構成される学習者グループが協調して学習を進めることができる課題を設定し、本研究で開発したシステムが学習者同士の対話をトリガとして支援できているかどうかについて評価を行う。 なお、実験やデータ分析を行うときに、実験等協力者の同意・協力を必要とする場合がある。この場合、当該協力者の同意等を得たうえで実施する。
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