2014 Fiscal Year Research-status Report
日本におけるノン・フォーマルな<学び>の展開とICTの活用に関する研究
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25870227
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
石田 千晃 お茶の水女子大学, 教育開発センター, 特任講師 (30579800)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ノンフォーマルな学び / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
フォーマルな学習の枠組みから周縁化されている人々の活動にICTはどのように活用されているのか、オーソドックスな解決策が存在しない現代的な課題の渦中にある当事者と、それらの人々を支援する人間同士が織りなす学習活動にICTが活かされ新しい文脈を生むとき、その活動はいかなる特徴をもっているのかを検証してきた。特に申請者が着目してきたのは、日々淡々と続く活動のなかに埋め込まれている社会的コンテクストを他者との対話を通じて掘り起こそうとするICTネットワークとその社会的機能である。 上記を検証するにあたり、平成25年度はフェーズ1として、日本社会でエスニシティが要因となり周縁化されがちな人々に照準をあて(ア)日本語ボランティアを中心にフィールドワークを行った。平成26年度はフェーズ2として、他の社会問題を<イシュー>としネットワーキングや市民活動を行う人々に着目し(イ)働く母親のネットワークや(ウ)若者支援のネットワークを調査している。(イ)や(ウ)を新たに調査対象として設定したのは、いわゆる「社会のあり方を規定している側(マジョリティ)」の活動領域から撤退することを強いられたり、マジョリティ側の活動領域が自らの生活領域に重なっている(もしくは近い将来に重なる予定)にも関わらず、社会的意思決定に参与できない(参加しようと思えない)状況に置かれがちだからである。これらの人々(当事者同士や当事者を支援する人々)が同じ<イシュー>を抱える人々と関わり合いながら、現状の支配的な軸をずらそうとしている取り組みに着目し、その際に行われている学習にICTのネットワークがどれだけ寄与しているのかをあぶり出すことをフェーズ2では目的としている。現在、この両分野に関するデスクリサーチを終了しており(当該分野の文献調査と約70団体のウェブサイトを調査)、平成27年度中に幾つかの団体に対してフィールドワークを行う予定でいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本テーマは、経済活動を主としないボランティアやNPO、NGO団体を対象に参与観察、インタビュー、定量アンケートなどを実施しながら1次データを集めていくことが非常に重要な研究である。しかし、申請者が平成26年6月に出産したため、その前後に研究活動を十分行うことができなかった。2014年2月(妊娠6ヶ月時)に、兵庫県でのフィールドワークを実施したが、それ以後は体調を考慮し、体の移動を伴うフィールドワークは行わず、デスクリサーチを中心に研究を進めてきた。第1子出生(2014年6月3日)以降は、物理的(移動ができないため)、時間的な制約からフィールドワークは一端中断し、デスクリサーチを中心に研究を進めてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
本採択課題では、将来的な国際比較調査の礎とすべく、「国内基礎調査」を実施し1次データを得ることを目的としている。【研究実績の概要】に記述したように、フェーズ2の調査を今年度中に終了させることが、本採択課題における最大の目標である。 調査対象となる団体候補に関しては大凡のピックアップを終了しているため、平成26年度の6月以降に調査対象の団体、個人にコンタクトを取り調査の依頼を開始する。大学が夏休みに入り次第、フィールドワークの協力を得られた団体、個人に対して実査を実施する。すでにフェーズ1で作成したインタビューガイドや定量調査の調査票が存在するため、今年度はより多くの1次データを収集することに集中し、冬から3月にかけてはデータの分析および学会発表や投稿論文の執筆準備を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成25年度は計画通りフィルドワーク(インタビュー、参与観察、アンケート調査)を実施することができたが、平成26年度は妊娠出産に伴い身体の移動が制限されたため、計画を変更し、主に書籍などの資料収集を行うこととしたため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は予定をしていた残りのフィールドワーク実施経費(主に交通費)にあてることとしたい。また、その他にも、分析用のソフトウエアや電子コモンズを試験的に構築するサーバー機材(10万円前後)を購入する可能性もある。
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