2014 Fiscal Year Annual Research Report
散逸粒子動力学シュミュレーションによるJanusナノ粒子の自己集合形態の予測
Project/Area Number |
25870229
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
荒井 規允 近畿大学, 理工学部, 講師 (80548363)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分子シミュレーション / 自己集合 / ナノ粒子 / 散逸粒子動力学法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,複雑な表面形状や科学相互作用を有した異方性ナノ粒子,特にJanusナノ粒子について分子シミュレーションを行い,自己集合過程や自己集合構造を系統的に分類することである.自己集合構造と物性には強い相関があることがわかっているため,この研究によって,実際に実験する前に発現する機能の一部を予測することが可能となり,新規ナノデバイスの設計の際に実験の試行回数や費用を削減することに繋がる. 本研究では,Janus粒子表面の疎水性パターンに注目し,親水性/疎水性の2つの表面を持つ粒子(diblock Janusナノ粒子)と疎水性/親水性/疎水性の3つの表面を持つ粒子(triblock Janusナノ粒子)について分子シミュレーションを行った. まず,Janusナノ粒子をナノチューブに閉じ込めた時の自己集合構造について調査した.その結果,ナノチューブの半径と軸方向の圧力によって様々な自己集合構造ができることを明らかにし,それらについての相図を示した.また,ナノ粒子同士の配位数が2の倍数の時に規則的な構造ができることを発見した.さらに,ナノチューブの化学的な性質によって,自己集合構造がある程度予測できることを示した. 次に,Janusナノ粒子と細胞膜モデルの1つであるベシクルの衝突後の安定構造についての分子シミュレーションを行った.ナノ粒子の表面の化学的な性質や衝突の速度によって,いくつかの安定構造が現れることを示した.また,衝突後,ベシクルの内包物の変化についても調べ,ナノ粒子の向きによって安定構造に達するまでの過程が異なり,衝突速度が比較的遅い場合でも,内包物の変化量が大きい場合があることを明らかにした.
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