2014 Fiscal Year Research-status Report
電力残量に適応して動的再配置可能な無線通信網の自律構築・最適化
Project/Area Number |
25870232
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
服部 聖彦 独立行政法人情報通信研究機構, 耐災害ICT研究センター ワイヤレスメッシュネットワーク研究室, 主任研究員 (00435794)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 群ロボット / 無線メッシュネットワーク / センサー被覆問題 / 自律分散システム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は主に提案手法の基本的な性能をシミュレーションベースで検証したのに対し,本年度はより現実的な環境においてのシミュレーションによる検証および,実機を用いた屋外実験を行った.具体的には(1)ネットワークシミュレータSYNERGY上に提案手法と比較手法の双方を実装,電波伝搬等も考慮したパケットレベルでの評価,(2)実環境を抽象化するため行動不能率を定義し,領域被覆率,被覆までの時間,総移動量,故障台数の観点からの検証,(3)実機ロボット12台を用い,屋外環境での実機実験評価の三点である. (1)に関しSYNERGYを用いる事により,通信の観点から提案手法の有効性を明らかにすることが出来た.特に本手法ではロボット間の役割分担を行う上でbroadcastに多用するが,ロボット50台を用いた場合でも問題なく機能することが分かった. 次の(2)関し昨年までは障害物なしという一種の理想環境での検証だったのに対し,今年度は移動量に応じてロボットの駆動系に障害が発生,行動不能となる変数である行動不能率をWeibull分布に基に独自に定義,その上で提案手法が有効に機能することを明らかにした. 最後の(3)に関し,今年度新たに6台のロボットを買い増して合計12台のロボットで屋外実験をし,検証を行った.実機実験を通してロボットのバッテリー使用量を取得,評価したところ,提案手法の省電力性が明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は(1)ネットワークシミュレータへの提案手法の実装,評価,(2)実環境を抽象化した行動不能率を適用した上での領域被覆率,被覆までの時間,総移動量,故障台数の観点からの検証,(3)実機ロボット12台を用い,屋外環境での手法の実機実験評価を行っている.これらの結果より現実的な環境での手法の有効性が検証出来たと考えられる. シミュレーションでは,様々な領域サイズとロボット台数,パラメータの組み合わせにおいて,ほとんどのケースで提案手法が非常に有効であることを明らかにした. また実機実験では,領域被覆を完了するまでのロボットのバッテリー消費量を計測,評価を行った.これらの成果から提案手法の省電力性を明らかにすることが出来た. これらの成果は国内発表3件,国際会議2件で発表を行い,各発表の場においておおむね好意的なコメントをいただいている. これらの事から,現在までの達成度はおおむね順調であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
2年間の研究の結果,提案手法は障害物がない平地において非常に有効に機能することが明らかになった.提案手法は受信電波強度(RSSI)というスカラー値のみでロボット間のおおまかな位置関係を推定,認識した上で自律分散的な役割分担を行う事により,所望エリアに展開,被覆をするという一連の制御が実現出来た.一方で,大きな課題も明らかになった.その一例として障害物が多数あり,関所のような細い道等を越えないと領域展開が出来ないような環境では提案手法,既存手法ともにうまく被覆を完了出来ないということが上げられる. 本年度はこの課題に取り組むために,今まで用いていたロボットの役割に新たに先導者的な役割を追加し,積極的に狭い場所を探索,他のロボットを誘因するような方向でアルゴリズムの改良を検討する.加えて,効率的に探索,展開を行うために,RSSIの時間変化情報等を積極的に用いることでおおまかな2次元ロボット配置マップと作成し,それに基づいて探索を行えるようアルゴリズムを改良する. 加えて,任意の領域への展開適応性を高めるため,GPSのような絶対位置センサを持つ少数のロボットを組み合わせ,先のおおまかな2次元ロボット配置マップとの併用による新たな領域被覆アルゴリズムの提案と評価を行う予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた大きな理由として,当初想定していた実験補助員への謝金10万円が不要になったことが上げられる.これは研究代表者自身が実験補助を行った事に起因する.また,研究代表者が2014年度より所属組織および居住地の変更(東京から仙台)したことにより,協力研究者との打ち合わせのため,旅費の割合が大きくなり,他の予算を削減したこともその一因であると考える.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は研究の最終年度として手法のさらなる改良に加え,今までの成果のとりまとめおよび公表のための論文化に注力をする.そのため,今まで以上に協力研究者との打ち合わせが必要になると考えられるため,仙台・東京間の移動旅費に充てる予定である.
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