2013 Fiscal Year Research-status Report
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25870234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
津田 照久 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (00452730)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | パンルヴェ方程式 / 無限可積分系 / 超幾何函数 / 有理函数近似 |
Research Abstract |
パンルヴェ微分方程式やガルニエ系等の、所謂モノドロミー保存変形方程式に関わる研究を行った。特に UC 階層という無限次元可積分系(ソリトン方程式系)から導かれるある多項式ハミルトン系について詳しく調べた。このハミルトン系はパンルヴェ第VI方程式やガルニエ系等の重要な可積分系を統一する興味深い対象であり,対応するフックス型線形常微分方程式の特異点でのスペクトル型によって指定される。 研究代表者による論文 "Hypergeometric solution of a certain polynomial Hamiltonian system of isomonodromy type", Quart. J. Math. 63 (2012), 489-505 において、当該ハミルトン系がある超幾何函数を特殊解として持つ事が明らかになっている。平成25年度はその超幾何函数を統制する線形パフ系について、特徴的な局所的な振る舞いを持つ「良い」基本解行列を構成した。その構成は Eular 型の積分表示による組織的なものであり、現れる有理微分形式と積分サイクルが巡回的である点が興味深い。対象は古典的な Gauss, Thomae, Lauricella 等の超幾何函数を含んでいるので、今後も広く応用されることも期待される。尚、この結果についての論文は現在投稿中である。 実は関連する主題でもあるが、有理函数近似の理論と線形常微分方程式の Schlesinger 変換(即ち、モノドロミーを変えずに特異点での局所指数を整数差ずらすような変換)の関係について、明らかにした。尚、琉球大の眞野智行氏と共同ですでに一編の論文がRIMS講究録別冊(査読付きの雑誌)に掲載が決定している他、現在、複数の論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究のテーマに関わる研究成果をすでに複数得ている点からも研究は順調に進行していると考えている。なお、得られた研究成果は、複数の論文に纏められる内容と量であり(すでに2編は書き上げた)、現在は研究と論文の執筆作業を同時進行させている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究自体の進行と成果の発表(論文や学会発表による)を通して、当該研究分野の発展に貢献していく所存である。とりわけ,ある超幾何函数の族を統制する線形パフ系について、特徴的な局所的な振る舞いを持つ「良い」基本解行列を構成は,数学のみでなく物理や工学等で広く扱われる古典的な超幾何函数についての新しい結果も含んでいるので、可積分系分野を中心に広い分野での貢献も期待できる。
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