2015 Fiscal Year Annual Research Report
解剖体造影CTを用いた下顎骨インプラント手術時のリスクの検証と指標化
Project/Area Number |
25870250
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
勝見 祐二 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70600047)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯科インプラント学 / 口腔解剖学 / 口腔外科学 / 肉眼解剖 |
Outline of Annual Research Achievements |
下顎骨インプラント手術時の合併症として時に血管損傷に伴う口底部出血を回避することを目的に、解剖体を用いてオトガイ下動脈と舌下動脈の走行の調査を行うと共に、両動脈に造影剤を注入しCT解析にて下顎骨との距離や3次元的な位置関係を調査し、最終的に各部位ごとのリスクの指標の作成を行った。 新潟大学歯学部および医歯学総合研究科解剖学実習の解剖体を用いて半切した下顎骨内側面を中切歯(1番)から智歯(8番)の歯種別および顎舌骨筋上方下方の計16ブロックに分け、各ブロックに近接走行する動脈の本幹、粘膜骨膜枝、皮質骨枝をそれぞれの血管直径と出現頻度を調査した。 頻度に関しては顎舌骨筋上方下方いずれも1番から6番にかけて動脈の近接走行を認めた。(7番8番では認めなかった)。頻度に関しては顎舌骨筋上方の1番部が最も高く分枝の粘膜骨膜枝、皮質骨枝の走行を認めた。血管直径に関しては動脈本幹は分枝である粘膜骨膜枝と皮質骨枝よりも太く遠心に行くほど径が大きくなることより、臼歯部で損傷した場合に大量出血を起こす可能性が高いと考えられた。顎舌骨筋上方で近接する動脈本幹はすべてオトガイ下動脈であり、下方よりも上方の方が径が大きかった。以上より1番から6番まで血管損傷のリスクがあるが、顎舌骨筋を貫くもしくは後方から回り込み顎舌骨筋上方を舌下腺外側に下顎骨に近接し走行するオトガイ下動脈の損傷が最も注意を要することが分かった。これは過去の合併症の報告とも一致した見解であった。 造影剤に関しては中心循環系マイクロカテーテル挿入下に消化管用バリウムを注入し撮影。皮質骨枝まで到達し下顎骨近傍の動脈の観察が可能となったが、すべての個体で確実な観察が可能ではなかったためデータ収集には至らなかった。これに関しては技術の向上および術式の再考を行う予定である。
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Research Products
(1 results)