2014 Fiscal Year Research-status Report
klotho/megalin/NaPi2aの相互関係による新規リン代謝調節機構
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25870253
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
桑原 頌治 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任助教 (70645209)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リン代謝調節 / klotho / メガリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は生体に必須の栄養素であるリンの生体内恒常性維持における、老化関連因子であるklothoの関与を焦点とした新たなメカニズムを解明することである。リンの代謝調節には全身の臓器の中でも腎臓が重要であり、リン再吸収を担う輸送体が発現している。 klothoタンパク質は腎臓の遠位尿細管という部位に発現するが、前述したリン輸送体は主により上流の近位尿細管と呼ばれる部位に発現している。にも関わらずklothoタンパク質は近位尿細管に発現するリン輸送体の機能調節、つまりリン輸送能に関与が報告されている。そこで本研究ではklothoタンパク質が近位尿細管に作用する新規リン代謝調節機構を想定し、これを解明することを目的としてきた。 前年度よりメガリンと呼ばれる、近位尿細管に発現するエンドサイトーシス受容体とklothoタンパク質の関連について明らかにしてきた。これはメガリンノックアウトマウスにおいて検討しており、メガリンとklothoという新たなメカニズムを示すデータが得られつつある。この得られているデータを鑑みると、従来糸球体という濾過装置をklothoタンパク質は通過出来ないサイズと考えられていたが、本研究から少なくとも一部が糸球体を濾過して下流の尿細管に作用しうることを意味していると考えている。また培養細胞をもちいたリンの輸送を検討する実験系も確立するため行っていた、組み換えklothoタンパク質の精製にも成功しており、予備検討を終えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請当時の計画において、メガリンノックアウトマウスをはじめとする動物実験と培養細胞をもちいた実験の2つが大きな柱であった。メガリンノックアウトマウスについては一部予備実験から期待したデータが得られなかったものの、仮説が否定されれるものでなかったことを示した。また、予定を前倒しし、klothoのノックアウトマウスの導入も順次行う算段を終えており、次のステップに進んでいる。 培養細胞をもちいた実験は予備検討を終えているものの、計画を変更し動物実験を先に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画はまず第一にklothoノックアウトマウスを用いた実験である。前年度までに作成を終えることの出来た、組み換えklothoタンパク質を用いてklothoノックアウトマウスにおけるメガリン、klothoそしてリン輸送体による腎臓、特に近位尿細管におけるリン代謝調節機構を解明していくものである。具体的には、血液中リン濃度が高い、またヒトの老化症状と類似した表現型を示すklothoノックアウトマウスにおいて、組み換えklothoタンパク質によるレスキュー実験を行い、その際のメガリンやリン輸送体との関与をタンパク質レベルで評価していく計画である。
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Causes of Carryover |
必要な消耗品の購入計画があり、そのための予算として計上していた。実際に必要になり購入申請をした時期が年度末になってしまい、かつタイミングが悪く納期に時間がかかることが判明したため発注をキャンセルせざるを得なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前述のとおり、必要な物品の購入計画がすでにある。当初の予定通りその予算として利用する計画である。
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