2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870259
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
三宮 千佳 富山大学, 芸術文化学部, 講師 (10454125)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 小金銅仏 / 加工跡 / 鏨 / マトリックス |
Research Abstract |
当該研究が対象としている東アジアの小金銅仏は、人の手のひらにのってしまうくらいの大きさの日常使いの仏像である。これまで小金銅仏研究は、美術史研究の分野では主として図像研究による編年が行われてきた。しかし、仏像の図像は、過去を遡って模倣することができることから、もしその作品が贋作であった場合に、正確な時代判定ができないなど、目視による研究には限界もあった。そこで私は、当該研究において、平成25年度より以下のことを目標として研究を遂行した。1)作品の加工跡について、細部にわたって項目をつくり表を作成する。2)加工跡を数値化し、傍証となる写真撮影をすること、さらに技術の「再現実験」を取り入れ、できるだけ多くのデータの中で相対的に判断する。 平成25年度は、早稲田大学會津八一記念博物館の中国・五胡十六国~唐時代の小金銅仏40体について調査研究を行い、上記の1)、2)に関する成果を得た。また研究発表として「服部コレクション小金銅仏の技法に関する新しいアプローチ―美術史学と考古学のはざまの問題―」(第79回文化財と技術の研究会、2014年3月8日、於工芸文化研究所 根岸工房)を行い、平成26年度には国際シンポジウムでの発表も計画している。また、派生する研究の論文を投稿中である(三宮千佳・三船温尚「薬師寺東院堂聖観音菩薩立像の鋳造技術再考」(アジア鋳造技術史学会『FUSUS』7号、平成26年度発行)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、早稲田大学會津八一記念博物館の中国・五胡十六国~唐時代の小金銅仏40体について計10日間(10:00~16:00)調査研究を行い、1)小金銅仏の造像方法、つまり鋳造の加工跡、面部と衣文線、銘文部分などの鏨の技法について、技術のマトリックス図を作成した。2)の鋳造の加工跡、鏨の技法について、論文にするときにその傍証・検証ができるよう、マクロの部分写真を約500枚撮影した。 また研究発表として「服部コレクション小金銅仏の技法に関する新しいアプローチ―美術史学と考古学のはざまの問題―」(第79回文化財と技術の研究会、2014年3月8日、於工芸文化研究所 根岸工房)を行い、小金銅仏に関して、中国の五胡十六国時代、北魏時代、唐時代における鏨の用法に関する時代性についての解釈を提示した。また、派生する研究の論文を投稿中である(三宮千佳・三船温尚「薬師寺東院堂聖観音菩薩立像の鋳造技術再考」(アジア鋳造技術史学会『FUSUS』7号、平成26年度発行)。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、10月に行われる国際シンポジウム「文化財の解析と保存への新しいアプローチ11」(早稲田大学奈良美術研究所主催)での研究発表を予定し、さらに論文と報告書を執筆する予定である。 基本的には、これまでの研究方法をさらに発展させ、鏨の加工跡の数値化や再現実験も進めたいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
B-Aは、1,297円と端数であり、平成26年度に文具などで利用したいと考えている。 A4ファイルを購入したいと考えている。
|