2013 Fiscal Year Research-status Report
高速原子間力顕微鏡を用いたコラゲナーゼによるコラーゲン消化メカニズムの解明
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25870262
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中山 隆宏 金沢大学, バイオAFM先端研究センター, 助教 (00532821)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 一分子観察 / コラーゲン / コラゲナーゼ / 高速原子間力顕微鏡(高速AFM) |
Research Abstract |
本研究では、コラーゲン分解反応におけるコラーゲン分解酵素の動態を、高時間・空間分解能を有する高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を用いて直接可視化することで、コラーゲン分解酵素の運動とコラーゲン高次構造の関係を明らかにすることを目的としている。 1)コラゲナーゼの調製: コラーゲン分解機能を有するがまったく構造の異なる細菌性コラゲナーゼ(ColG)と動物性コラゲナーゼ(MMP-1)の運動を比較するため、先ず、材料の組み換えタンパク質作製を行った。ColGは可溶性画分として回収できた。N,C末両端に付けた短いタグ配列(Strep-tag II, His-tag)を用いてアフィニティー精製し、コラーゲン分解活性を有することを確認できた。一方、MMP-1は可溶性画分に回収できなかった。さまざまな発現プラスミドを作製したが、発現誘導後に溶菌もしくは、発現誘導できても不溶性画分となった。哺乳動物細胞での発現精製も試みたが、非発現誘導細胞と比べて充分な発現誘導を確認できなかった。そこで、大腸菌不溶性画分(封入体)を変性剤で可溶化後、変性剤を除去してリフォールディングさせる条件を検討し、活性を有するMMP-1を調製することができた。 2)ColGによるコラーゲンフィブリル分解の高速AFM観察: 先ず始めに、高速AFMステージ基板上に固定したコラーゲンフィブリル(67 nmピッチの縞模様の高次構造)を、実際に調製したColGが分解できることを確認した。さらに、コラーゲンフィブリル上に結合し、コラーゲンフィブリルの長軸方向に運動するものがあることを見出した。これらの成果については日本分子生物学会年会で発表を行った。その後、すべり運動するものは少なく、むしろ結合した場所で解離するものが多いということが明らかになった。また、触媒阻害剤を加えると、結合している時間が長くなることを観察できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MMP-1調製に時間を要した。また、高速AFM観察で得られた動画の解析方法の検討に時間を要した。研究初年度中に材料の準備、ColGのコラーゲン分解の高速AFM観察までおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究結果から、ColGはコラーゲンフィブリル上に結合した後、解離するときに分解反応を触媒していることが示唆される。阻害剤の存在下、非存在下での高速AFM観察から結合時間の統計解析を実施し、これまでの生化学実験解析から得られている反応速度定数との対応を議論する。また、一つのColG分子がコラーゲンフィブリルに結合、分解反応触媒後にフィブリル上をすべって(ゆるい結合)別の部位に結合するのかを検討するため、ColGの濃度を変化させて高速AFM観察を実施する。ColG濃度とColG結合の発見頻度と結合持続の関係を明らかにして結論付ける。同様の観察をMMP-1についても行い、ColGと比較する。
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Research Products
(1 results)