2014 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬の細胞膜を介したカリウムチャネル制御機構の解明
Project/Area Number |
25870274
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
松木 悠佳 福井大学, 医学部, 助教 (10464083)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2,2,2-トリフルオロエタノール(以下TFE)は、CF3基を有する最も単純なアルコールであり、生体中に存在するタンパク質の構造の安定化または変性を促進させる共溶媒として知られている。一方で、吸入麻酔薬の原料として広く用いられている。吸入麻酔薬類似物質であるTFEのKチャネルに対する作用を電気生理学的手法で測定した。 方法;用いたKチャネルはKcsAチャネルであり、すべてのKチャネルの基本構造を備えており、そのゲート開閉機構はすべてのKチャネルに共通の構造変化を示す。KcsAチャネルのゲート開閉は細胞内のpHセンサーにより制御されており、酸性のpHで開くことが知られている。他の蛋白質の寄与が全くない単純な系である脂質平面膜にKcsAチャネルを再構成し、ボルテージクランプ法でチャネルの開閉電流を計測した。TFE濃度を変化させてKチャネルの開確率を観察した。カリウムチャネルには、同一の活性化条件でも開確率の異なる状態があり、相互に遷移する。これをモード遷移と呼び、今回の実験でもこのようなモード遷移が観察された。TFEはカリウムチャネルに作用したが、チャネルのモードの違いによって、その作用の仕方が異なった。TFE濃度依存性に、カリウムチャネルの開確率が上昇するチャネルと、下降するチャネルが存在した。TFEはチャネル分子への直接作用ではなく、リン脂質に溶け込んでフィルターゲートを開口させると報告されており 、リン脂質の側方からの圧力変化がカリウムチャネルの開閉に寄与している可能性があることが示唆された。
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