2015 Fiscal Year Annual Research Report
クロマツ林再生に向けたヘルパー細菌の利用 -菌根共生促進物質の解明-
Project/Area Number |
25870275
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
片岡 良太 山梨大学, 総合研究部, 助教 (00635104)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クロマツ / 根圏微生物 / 菌根菌 / 糸状菌生育促進細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
クロマツは菌根性樹種であるため、クロマツの生育には菌根菌との共生が欠かせない。そのため松枯れなどで荒廃したクロマツ林を早期再生させるには迅速な菌根共生が欠かせない。本研究では、菌根共生を促進する細菌に着目し、その細菌が生産する菌根共生促進物質を単離・同定し、機能解析することを目的としている。これまでにヘルパー細菌を培養する培地の選定と培養上清から生育促進物質を抽出し、粗抽出物の菌根菌に対する促進活性の確認を行った。27年度は引き続き、物質の精製および機能検定を実施した。ヘルパー細菌を培養した液体培地の培養上清から酢酸エチルで抽出を行った粗抽出物をSuperdex30で充填したカラムにより分画した溶出サンプルをHPLC分析およびGCMS分析に供したところ、GCMS分析においてはコントロールと比較してピークパターンに違いは見られなかった。しかし、HPLC分析ではコントロールでは確認できない大きなピークが確認された。しかしながら、物質の特定には至っておらず今後も検討を続ける必要がある。一方で、植物病原菌に対する菌糸生育促進効果を有する細菌11株を新たに分離しており、シークエンス解析の結果からArthrobacter spp. (8株/11株中)が最も多く確認された。Arthrobacter菌株は本研究で開発した培地では生育が緩慢になることが明らかとなった。そのため、pHを調節したポテトデキストロース液体培地を用いて培養し、培養上清を酢酸エチルで抽出した租抽出液による生育促進効果の検討を行ったが、植物病原菌に対する生育促進効果は認められず、物質の抽出方法についても検討する必要があることが確認された。
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