2014 Fiscal Year Annual Research Report
結晶欠陥形成過程の制御による超高正孔移動度歪みSi薄膜の形成と素子応用
Project/Area Number |
25870280
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
有元 圭介 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (30345699)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歪みシリコン / シリコンゲルマニウム / 結晶欠陥 / 高移動度トランジスター |
Outline of Annual Research Achievements |
集積回路の消費電力を抑えつつ高性能化を実現するためには、高移動度・低欠陥密度・広バンドギャップ材料の開発が必須である。同時に、低価格で安定した供給量が得られる材料系であることも求められる。低コストで高正孔移動度を実現できる材料系として、(110)面を表面に有する歪みシリコンが注目されており、これまでに、370 cm2/Vs という、Si デバイスとしては極めて高い正孔移動度が達成されている。移動度の決定要因としては、結晶欠陥・表面平坦性・バンド構造・格子歪みが挙げられる。これらの項目全てに関して、(100)面を表面に有する従来の歪みシリコン薄膜との大きな違いがある。本研究では特に、薄膜結晶成長中における結晶欠陥・表面モフォロジーの発達の様子や、これらが移動度に及ぼす影響について調べた。この結果、(110)面歪みシリコン特有の結晶欠陥形成過程のメカニズムが明らかとなりつつある。また、素子特性における問題の解決に道筋をつけ、600 cm2/Vsを超える極めて高い正孔移動度を実現した。また、リーク電流に関する問題を改善し、移動度に関する信頼性の高いデータを得ることに成功した。 研究代表者の従来の研究では、結晶成長中に{111}面を境界面とする変形双晶が形成され、これが歪み緩和の主要なメカニズムであることが分かっていた。本研究では、この変形双晶が形成される条件を詳しく調べ、電気伝導特性への影響を調べた。研究を進める過程で変形双晶とは別種の微細構造が顕著に発達する条件があることを見出した。前者は電気伝導特性に大きな悪影響を持たないが、後者は深刻な悪影響を与えることが明らかとなった。現在後者の微細構造の構造解析や形成メカニズムの解明に向けて研究を進めており、その発生を抑制する方法を開発することにより、更に高い正孔移動度の実現を目指している。
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Research Products
(4 results)