2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高橋 良輔 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (10371783)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 付着劣化 / 鉄筋腐食 / RCはり |
Research Abstract |
引張主鉄筋の腐食による付着劣化が、RCはりの曲げ破壊挙動に与える影響を実験的に検討した。腐食による付着劣化の要因である,腐食ひび割れとリブ損失を独立して検討するため、それぞれを人工的にモデル化したRCはりを製作して実験を行った。鉄筋のリブを削り、人工的にリブ高さを変える事で付着性状を変化させ、断面減少率0%、10%、20%、25%相当の試験体を作成した。疑似クラックは,鉄筋周りに金属板により部材軸方向のコンクリート不連続面を形成した。疑似クラックはかぶりの半分程度とした。 実験の結果、終局変位は健全なRC梁に比較して1ケースを除き概ね5mmの範囲に収まった。ひび割れ性状は断面減少率20%相当のもので、圧縮破壊域の局所化傾向が見られたが、他のケースでは顕著な傾向は見られず,付着性状を示すひび割れ間隔もほとんど変化は無かった。また鉄筋ひずみ分布からはいずれも付着が有効である事が確認された。これは、リブ以外の摩擦付着の影響、疑似クラック範囲が小さくかつせん断補強筋による拘束の影響が大きかった事が考えられる。 以上の実験結果から、リブの損失による付着劣化の影響はさほど大きくない事、腐食ひび割れによる付着への影響は、部材表面に貫通する程度までは影響が小さい事などが明らかとなり、付着劣化の原因を限定するために重要な情報が得られた。しかし、この結果は当初予想とは異なるものであり、当初計画における、付着劣化パラメータと圧縮破壊領域、終局変位の関係構築には至らなかった。 腐食RC部材の有限解析における非局所理論の有効性については、今回実施した解析において適用しなかった場合との大きな差異は見られなかった。より局所的な破壊をする場合に対してさらに検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は、人工的なリブの加工および疑似ひび割れによる付着劣化により、曲げ終局変位が変化すると想定し、その変位と観察される圧縮破壊領域、実験パラメータの相関性を導く事が可能と考えていたが、今回の試験体ではリブの付着劣化への影響がほとんど見られなかったこと、また疑似ひび割れの影響もほとんど見られなかったため、計画における終局変位と圧縮破壊領域の寸法、実験パラメータとの相関式について検討する事ができなかった。 さらに、非局所理論の妥当性についても影響が顕著な実験を対象とできず、妥当性の評価は十分ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
終局変位と観察される圧縮破壊領域、実験パラメータの相関性を導く事ができておらず、当初計画の終局変位の簡易評価式の構築は難しい。そこで、これまでに行った実験のシミュレーションを行った上で、有限要素解析により付着性状をパラメトリックに変化させ、付着劣化による影響について構造形式と破壊形態で整理を行う。これと、初年度の結果により、今後検討すべき破壊形態、部材、実験パラメータが限定されることとなる。またこれについては、1方向だけでなく、交番繰り返し載荷の場合にも同様に検討する。 非局所理論の適用性については、引き続き検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
印刷関連消耗品の使用が予定より少なくなったため。 次年度、印刷関連の消耗品として使用する。
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