2013 Fiscal Year Research-status Report
水酸化物イオン導電現象を利用したNOx両極還元反応の解明
Project/Area Number |
25870308
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長尾 征洋 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (40432223)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水酸化物イオン / イオン導電体 / NOx還元 / 電極触媒 |
Research Abstract |
燃料電池やガスセンサー,反応器などのデバイスにおいて,イオン導電体として酸化物イオン導電体やプロトン導電体が多く提案・検討され,研究が進められている.歴史的には,アルカリ形燃料電池にみられるように,水酸化物イオンを導電種として用いるデバイスは古くから研究されているが,適当な(非水系,固体,広温度範囲)電解質材料が見出されていないため,各種ガスに対する電極触媒の気相反応の報告例は多くない.そこで,本研究では新規な水酸化物イオン導電体を用いて,電極反応を解明することにより,各種電気化学デバイスへの適用を目指す.今年度はまず,使用環境において安定な水酸化物イオン導電体を作成した.ガス反応過程の解析には,緻密かつ低導電抵抗な電解質薄膜を準備する必要があり,電解質紛体とテフロン系有機バインダを用いることで実現できた.電極反応の解析においては,作用極をマイナス方向・プラス方向いずれの方向に掃引した場合でも,NOの減少を観測できた.両極においてNOの電解反応が観察されたのは非常に興味深い.この現象はこれまで,プロトン導電体を用いた同様の実験では観察されなかった現象である.さらに興味深いのはプラス方向に掃引した場合に電解量が飛躍的に向上することであり,見かけ上はNOが導電してきた水酸化物イオンにより,窒素へ還元されたことを示唆している.電解効率が50%を超えていることも興味深い.今後は,この現象の解明を中心に研究を進める予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,1.NOの電解反応(アノード分極,カソード分極)の解明,2.NOの電解性能評価(プロトン導電体との比較) を研究の柱にしていたが,まずは,各種電気化学測定やガス反応特性の評価に耐えられる電解質膜の作製を行った.テフロンを用いることで頑強な膜を作成することができ,電気抵抗も下げることができた.1.に関しては,両極においてNOの電解反応が進むことを確認し,2.に関しては,見かけ上はNOの電解性能はNOと水酸化物イオンの反応により促進されることが示唆された.プロトン導電体を用いた場合は、発生したH2による直接還元も可能であるため,この点において相違点がみられた.
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Strategy for Future Research Activity |
水酸化物イオン導電体の両極で起きる反応と,プロトン導電体上で起きる反応を比較しつつ,水酸化物イオン導電体上で起きる反応の特異性を明らかにする研究を行う.デバイスとしての応用面としては,両極で電解が起きるという現象から,交流電源を用いた交流電解の適用が可能になると想定されるため,周波数や振幅,電位依存性などを測定する予定である. また,水酸化物イオン導電体を用いたデバイスとして,燃料電池や空気電池などへの応用が期待され,本研究で得られた知見や電極触媒はこれらに応用が可能であると考えられるため,これらへの応用も検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入する予定の備品を当初計画の品物から変更したため、その差額が生じた。また、今年度は、海外における研究発表を行わなかったため、旅費としての支出はなかった。 本年度で生じた差額は、当初の使用予定額と合わせて、主に試薬・ガスの購入、成果報告のための旅費として支出する予定である。
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Research Products
(2 results)