2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25870319
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
長谷川 詩織 宇都宮大学, 基盤教育センター, 助教 (70634921)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アメリカ映画 / 視覚文化 / 自然探検 / 博物学 / 家政学 / ジェンダー / パンアメリカ主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀初頭に合衆国が、どのような方法を使って、ヨーロッパの伝統から自立した国家芸術の確立を目指したのか、古代世界の復元を通じた「ラテン」生成という観点から明らかにすることが、本研究の中心的な目的である。本研究が調査対象とするのは、①1915年に開催されたパナマ太平洋万国博覧会の展示物(彫刻・壁画・建築)、②1910年代の合衆国における史劇映画の流行、③メキシコの歴史・文化に関する研究の活発化(人類学・考古学)の3点である。複数の「ラテン」的な要素の絡み合いのなかで、いかなる国家スペクタクルが生み出されていったのか、1910年代に流通していた出版物・雑誌・業界誌・新聞記事など一次資料の発掘および分析を通じて解明していく。 とくに、本研究の中核となったのが、ニューヨークにあるアメリカ自然史博物館における博物学の研究、および、対ラテンアメリカ政策推進の役割を担ったパンアメリカン・ユニオンにおける地域研究である。これらの機関が出版した機関誌や関連する記事を、海外カーカイブス調査を通じて発掘し、上述した①~③の問題設定との関連性を実証的に見出すことを試みた。そのうえで、文化、政治、学術の相補性を明らかにし、合衆国帝国主義推進の論理を浮かび上がらせるために、補足資料として同時代の映画産業、家政学、教育関連の雑誌や論集を調査する形とした。 その結果、本研究は、ラテンアメリカ、アフリカ、合衆国内を志向する文化政策の重なり合いおよび逸脱を考察することとなった。それゆえ、研究成果となる論文は、それぞれ、3つの地域のいずれかに焦点を当てたものとなっている。
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Research Products
(2 results)